レーザー・ツールズ・レーシングが名門WSRとジョイント。ジェイク・ヒルのBMWを支援へ/BTCC

 自動車向けツールのスペシャリストとして、2014年からBTCCイギリス・ツーリングカー選手権での支援活動を開始したレーザー・ツールズ・レーシングは、来る2023年シーズンに向け、元F1ドライバーのマーク・ブランデルが率いるMBモータースポーツとのジョイントを発表。この契約により、昨季タイトル争いの末にランキング2位を獲得したジェイク・ヒルのBMW 330e Mスポーツは、名門ウエスト・サリー・レーシング(WSR)のオペレーションを継続して『レーザー・ツールズ・レーシング・ウィズ・MBモータースポーツ』のエントリー名で戦うことがアナウンスされた。

 ホワイト&アクアの鮮烈なカラーが印象的なシリーズお馴染みの工具ブランドは、2022年最終戦終了後にエイデン・モファットとの契約終了を発表。近年はインフィニティQ50 BTCCをドライブしてきたモファットにとっては、自身がBTCCにデビューした2014年以来の付き合いでもあっただけに、このレーザー・ツールズ・レーシングの名称自体がシリーズから撤退する可能性さえ囁かれていた。

 しかし同ブランドの会長を務めるマーティン・スミスは「ここまでのMBモータースポーツのチーム運営には非常に感銘を受けており、ジェイク・ヒルこそが将来のBTCCチャンピオンであると感じている」と、新体制でのさらなるプレゼンス拡大に自信を見せた。

「マーク・ブランデルは、我々レーザー・ツールズ・レーシングとMBモータースポーツの相乗効果がすでに明らかであることを証明した。こうして今季もBTCCで戦えることを誇りに思っており、我々にとって非常にエキサイティングなシーズンになることを非常に楽しみにしている」

 その言葉どおり、今季のタイトル候補筆頭と目されるヒルも、自身のBTCCプログラムにおけるタイトルスポンサー契約として、このレーザー・ツールズがロキットに取って代わるというニュースを知って「驚いた」ことを認めた。

「このニュースを聞いたときは、非常に驚いたと同時に心の底から興奮した」と続けたヒル。「レーザー・ツールズ・レーシングはBTCCで誇り高い歴史を持っているし、今季のシリーズで彼らのブランド名を掲げるのが待ち切れない気分だよ。彼らはチャンピオンシップの優れた点すべてと完全に同義のブランドであり、そのレーザー・ツールズ・レーシングとMBモータースポーツの組み合わせは、本当に強力なものになると確信している」

近年はインフィニティQ50 BTCCをサポートしたLaser Tools Racingは、2022年限りでエイデン・モファットとの契約終了を発表していた
マーク・ブランデルが率いるMB Motorsportは、2022年からWSRとジョイント。ROKiTがタイトルスポンサーを務めた

■「ふたたびBMW 330e Mスポーツに乗れることを本当にうれしく思う」とMSR残留のステファン・ジェリー

 これによりBMW陣営は、引き続き“サテライト”的存在として参戦するヒルと、本家WSRでシリーズ4冠を獲得する不動のエース、コリン・ターキントン(残留正式発表前)、そしてシシリー・モータースポーツの活動休止により移籍加入となったアダム・モーガンの強力な布陣を形成する。そのWSR最後の1台には、昨季のオールトンパークで復帰後初優勝、キャリア4勝目を飾ったステファン・ジェリーの残留も発表されている。

「2023年もふたたびBMW 330e Mスポーツに乗れることを本当にうれしく思うよ。昨季も競争力はあったが、さまざまな理由で本来あるべき結果が得られなかった。ドライビングのあらゆる側面を改善するため懸命に取り組んできたし、自分でも改善できると思っている。すべてのレースを最後のレースのように戦い、全力を尽くしたいね」と、今季への決意を語ったジェリー。

 また、MBモータースポーツのマネジメント配下であり、これまでチームではデベロップメント・ドライバーとしてハイブリッド開発の役割を担っていた27歳のアンドリュー・ワトソンが、2023年に向けパワー・マックス・レーシング(PMR)との新規契約締結を発表。新たにヴォクスホール・アストラBTCCのステアリングを握り、ツーリングカー競技の最初のシーズンに乗り出すことが決まった。

「BTCCで競争する機会を得たことは本当にエキサイティングだ。チャンピオンシップ自体の競争が激しく、つねに挑戦したいと思ってきたからね」と、ブリティッシュGTチャンピオンシップからル・マン24時間まで、これまでスポーツカー耐久シーンでキャリアを積んできたワトソン。

「多くの面で僕にとっては大きな変化だが、チームの知識とプロフェッショナリズムがこの旅の助けになるだろう。前輪駆動への挑戦は興味深いものになるだろうし、僕もそれに取り組むことを楽しみにしている。経験豊富なチームが周りにいるから、今年は何人かの人々を驚かせることができると確信しているよ」

2023年もWSR残留が発表されたステファン・ジェリー(左)。残る1台はCiceley MotorsportのTBL枠を使用する
27歳のアンドリュー・ワトソンが、2023年に向けPower Maxed Racing(PMR)との新規契約締結を発表

© 株式会社三栄