卒業旅行 学割適用プラン充実 コロナ禍で断念の社会人にも

JTBイオンモール岡山店を訪れた大学生

 大学生らの卒業旅行シーズンを迎え、岡山県内の旅行会社やホテルが学生向けプランの販売に力を入れている。今年は新型コロナウイルス禍の影響が和らぎ、旅行会社は卒業後間もない社会人にも学割を適用したり、学割を復活させた国内テーマパークを盛り込んだりするツアーを企画。地場のホテルは政府の全国旅行支援も追い風に、割安プランを充実させて集客に努めている。

 JR岡山駅前に店舗を構える旅行大手エイチ・アイ・エス(東京)は、「HISのリベンジ旅」と銘打ち、最大1万2千円を割り引く海外旅行プランを用意。コロナ禍で卒業旅行を断念した社会人にも配慮し、学割を卒業後3年目まで適用している。行き先はソウル(2万円台から)が断トツ人気で、韓国ドラマやK―POPといった韓流ブームが旅行にも波及しているという。

 JTBイオンモール岡山店(岡山市)でも、円安や旅先でのコロナ感染リスクといったマイナス要因があるにもかかわらず、フランスやイタリアなどの添乗員付きプランを中心に需要が戻りつつある。コロナ禍で親世代も旅行を控えていたため、窓口担当者は「友人同士ではなく家族で申し込むケースが多い」と話す。

 同店の先月の来客数はコロナ前の水準には届かないものの、前年同期の2倍程度。国内旅行では、3年ぶりに学割を復活させた東京ディズニーリゾート(千葉県)や、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、大阪)などのテーマパークに、学割の利くJTB提携ホテルを絡めたプランの予約が目立つ。

 岡山桃太郎空港からのチャーター便で沖縄離島旅をPRするのは山陽新聞旅行社(岡山市)。3月出発で宮古諸島や与那国島への2泊3日ツアー(13万9800円から)を企画する。

 旅行客を受け入れる岡山県内のホテルも、将来にわたって利用してもらえる若い顧客を獲得しようと学生向けプランをPRする。

 倉敷アイビースクエア(倉敷市)は、宿泊料を1割程度安くする学生限定の素泊まりプランを新設。全室対応で、特に4人利用のファミリールーム(通常1泊1人8千円から)を薦める。岡山プラザホテル(岡山市)も期間限定の学割プランを売り出した。和室か、追加ベッドを入れたデラックスツインルームの4人同室利用で1泊2食付きが通常の約3割引き(1人1万2千円から)となる。

 両ホテルとも「学割は過去に記録がなく、おそらく初めて」という。全国旅行支援も使えるため、併用すれば宿泊料がさらに2割(上限3千円)安くなる。

 岡山プラザホテルの担当者は「岡山城を望める当館レストランで食事を味わうなど、岡山ならではの旅で青春の特別な思い出をつくってほしい」とする。

倉敷アイビースクエアが学生に薦めるファミリールーム

© 株式会社山陽新聞社