フレンチ巨匠のレストランや1泊5万円の町家ホテル…三国湊はオーベルジュへ 福井県坂井市でアクティベースが描く青写真

三国湊に整備される町家ホテルのイメージ(アクティベースふくい提供)

 勇壮な山車(やま)が練る三国祭、越前がにや甘エビの海の幸、北前船文化が残る古い町並み―。福井県坂井市三国町の観光資源をフル活用した民間プロジェクトが、北陸新幹線福井開業に向けて動き出す。2月3日発表された三国湊プロジェクトは、「帯の幅ほどある町」と形容される旧市街地を一つの宿に見立て、景観や歴史文化、美食を堪能してもらう「オーベルジュ」(宿泊機能付きレストラン)プランだ。

⇒事業主はNTT西日本などが出資の新会社…描く未来像は

 NTT西日本を中心に民間11社が出資した新会社「Actibase(アクティベース)ふくい」によると、三国湊特有の「かぐら建て」などの空き家を改修する町家ホテルは、10棟18部屋。欧米豪からのインバウンド(訪日外国人客)や国内の富裕層を主なターゲットに優雅な空間を創出し、1部屋1組5万円程度とする計画。年間1万人の宿泊者を目指す。

 町家ホテルは、旧森田銀行本店などが並ぶ「三国湊きたまえ通り」から500メートルの範囲に点在。近くのNTT三国ビルを改装してフロント機能を持たせ、三国町商工会館前にあるかぐら建て町家も外観を生かして改修し、フレンチの巨匠・吉野建さんが運営する豪華レストランに生まれ変わらせる。

 会見に同席した吉野シェフは「港近くで仕事ができる喜びがある。自分の目で新鮮な食材を仕入れ、お客さまに喜んでもらえる料理を提供したい」と話した。フロント、ホテル、レストランは徒歩圏内にあり、ゲストに町歩きを楽しんでもらうことで、にぎわいを三国湊全体に広げる。

 新会社は、観光を起点にICT(情報通信技術)を活用した多言語対応や交通網の整備、越境EC(海外向けネット通販)、人手不足解消など地域が抱える課題解決に取り組む構え。アクティベースふくいの樋口佳久社長は「三国湊をブランド化し、地域の存続、発展に貢献したい」と力強く将来像を語った。

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