
信夫山福島電力(本社・福島市)と東京ガス(同・東京都)は3日、福島県楢葉町と富岡町の沖合で、浮体式洋上風力発電施設を設置する計画を発表した。風車は2基で合計出力は最大3万キロワットとなり、実現すれば浮体式では国内最大規模となる。環境影響評価を実施した上で、2027年の運転開始を目指す。
楢葉町と富岡町の沖合約20㌔で、10㌔平方㍍の海域に2基の風車を設置する。合計で約2万世帯分の電力供給を見込む。
政府が2011~2021年度に福島県沖で行った浮体式洋上風力発電施設の実証研究事業で得られた知見を活用するため、実証研究が行われた周辺の海域に発電施設を設置する。風車を搭載する基礎部分には英国やポルトガルの沖合で浮体式洋上風力発電の実績があるプリンシプル・パワー(本社・米国)の技術を活用し、事業化につなげる。
洋上風力は土台を海底に固定する着床式もあるが、日本は遠浅の海が少なく適地が限られるため、浮体式の普及が期待されている。
信夫山福島電力の渡辺和弘社長は取材に「県が県内エネルギー需要の100%を再生可能エネルギーで賄う目標を掲げる中、浮体式洋上風力発電施設の導入は欠かせない」と述べ、計画の具体化を進める考えを示した。同社の小泉光専務、東京ガス再生可能エネルギー事業部の広瀬路子再エネ第二部長と高橋雅也チームリーダーが同席した。