交通事故防止の願い歌詞に込め 元警察官、CD制作費CFで募る

2018年に出した「赤いランドセル」のCDを手にする塚本さん

 岡山県警の元警察官で作詞家・音楽プロデューサーの塚本定男さん(66)=岡山市南区=が、交通事故防止を願い作詞した曲「赤いランドセル」のCD制作費をクラウドファンディング(CF)で募っている。警察官時代に担当した女児の死亡事故を題材に2018年、自費で千枚作ったが、完売後も共感の声が多く寄せられ再制作を計画。学校の新年度に合わせ完成させ、運送業者や自動車学校などに無償で配る。

 塚本さんは初任地の倉敷署時代、登校中の小学1年の女児が脇見運転の車にはねられ亡くなった事故を担当。現場にあったランドセルや泣き崩れる家族の姿が頭を離れず、退職後に「赤いランドセル」の歌詞を書き、知人のギタリストに作曲してもらった。

 〈破れつぶれた 赤いランドセル〉〈身体(からだ)を震わせ 抱きしめ泣いた〉など現場の惨状や遺族の悲痛な思いを歌詞にした。CD完売後、塚本さんが出演するラジオで流したところ、「ドライバーに聞かせたい」という運送会社の声のほか、「多くの人が聴けるようにしてほしい」という要望が多数寄せられたという。

 18年のCDでは自ら歌ったが、今回はプロの女性歌手に依頼。「あの子が生きていたらと思うと今も胸が締め付けられる。多くの人の人生を狂わせる事故をなくしたい」と協力を呼びかけている。

 CFは山陽新聞社や中国銀行などが運営する「晴れ!フレ!岡山」のサービスを利用。100万円を目標に今月24日まで募る。返礼品はCDや交通安全のお守りを用意。CDの枚数はCFの資金次第で「1万枚を目指したい」としている。

 詳細や支援は専用サイト(https://readyfor.jp/projects/109914)。「赤いランドセル」は動画投稿サイト・ユーチューブで「桃太郎企画」で検索すれば一部聴ける。

© 株式会社山陽新聞社