なべやかん遺産|「ダースベイダー」 芸人にして、日本屈指のコレクターでもある、なべやかん。 そのマニアックなコレクションを紹介する月刊『Hanada』の好評連載「なべやかん遺産」がますますパワーアップして「Hanadaプラス」にお引越し! 今回は「ダースベイダー」!

2015年の大予想

2015年に雑誌連載でこんな事を書いていた。

〈2015年は映画当たり年だ。『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』『ターミネーター:新機動/ジェニシス』『ジュラシック・ワールド』『ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション』『アントマン』『マッドマックス 怒りのデス・ロード』『007 スペクター』『ファンタスティック・フォー』等々、魅力的な作品ばかり。
そして12月18日、シリーズ7作品目になる『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』が日本で公開される。最初の3部作(エピソード4~6)は1977年から始まり1983年で終わったが、16年もまたされて1999年にエピソード1が公開される。
そして、エピソード2、3が2005年に終わると「ジョージ・ルーカスが生きている間はもう新作を見られないのか…」と落ち込んでいたが、ディズニーがルーカスフィルムを買った事で『スター・ウォーズ』の新作やスピンオフ作品が見られるようになるので喜ばしい。
しかしアベンジャーズ計画が大成功中のマーベル作品のように『スター・ウォーズ』が現代の若者にうけるかは別問題。『スター・ウォーズエピソード7』は絶対にコケる事が出来ない、ここでコケたらこの先が危ういし、ルーカスフィルムも3000億円以上支払って買ったのだから大失敗になってしまう。
昔からのファンはもちろん、新規ファンをどれだけ獲得出来るかが今後の勝負である〉

これが2015年のなべやかん大予想だった。当たっていたのは、スピンオフが作られた事だ。

『Disney+』で配信されているスピンオフドラマは良い作品もあればまあまあの作品もあり、映画『アイアンマン』を監督しアベンジャーズシリーズを牽引したジョン・ファヴロー氏が企画したスピンオフドラマ『マンダロリアン』は傑作だった。キャラも素晴らしい!

残念だったキャラや兵器のデザイン

が、しかし、問題はエピソード7、8、9である。映画としてつまらなくは無いが、格別面白いとも思えない。残念なのはキャラクターや兵器のデザインである。

エピソード4、5、6を超えろとまでは言わないが同列に並べるくらいのキャラクターが少な過ぎた。これはエピソード1、2、3にも言える事だ。

かろうじてBB-8(ドロイド)が良いかなーと思うくらいで、歩兵のストームトルーパーもダース・ベイダー的なキャラのカイロ・レンもイマイチだった。スター・ウォーズはキャラクターやウェポンが命。そこが過去を超えられないと新作に未来が無い。

何故ならスター・ウォーズは、グッズ展開で大成功しファンを掴んだ作品なので、そこが駄目だとマーベルヒーロー映画には勝てない。

残念ながら『マンダロリアン』以外は良いキャラが誕生していないのが現実だと思われる。

ディズニーが買い取ったマーベルも苦戦している。『マーベル・シネマティック・ユニバース』は現在も新作が次々と発表されているが『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)以降はファンのテンションも確実に落ちている。現に自分もあの時がMaxだった。こうなったらスター・ウォーズとマーベルの競演しかないのでは?(笑)

ちなみに、アメリカのオモチャCMでは、アイアンマンとスター・ウォーズが競演している。そのCMを見た時はお漏らしするくらい興奮した。不可能を可能にするのが映画の世界なので、いつの日か実現して欲しい。

『スター・ウォーズ』の絶対的魅力はキャラクターの素晴らしさと言えよう。ダース・ベイダーとストームトルーパーを造形したのはブライアン・ミュアーだ。日本のヒーローモノのマスクに比べるとアメリカンサイズでかなりデカいマスクだが迫力があって見栄えがする。

ただし、背の大きい人が装着しないとミッキーマウスのような頭でっかちになってしまう。それでもブライアン・ミュアーの造形は“素晴らしい”という一言で語り切れないくらい見事な出来栄えだ。
今回は『スター・ウォーズ』を代表するダース・ベイダーをご紹介しよう。

究極のプロップレプリカ

ドンポスト製(左)とefx社(右)のダース・ベイダー。efx社の顔の方が左右の歪みなどが整っていて“一般的製品”という感じが強い。

ゴムマスクで有名なアメリカのメーカー、ドンポストが1995年にプロップレプリカのダース・ベイダーを発売した。ブライアン・ミュアーが第一作用に作ったマスクは一個だけだった。

それが映画公開のキャンペーンでも使われたりしていたので「もしそれが壊れたら大変!」という事でリック・ベイカーさんが型取りしキャンペーン用などのアトラク用マスクを増産した。

ドンポストでも型取りが行われたのかさだかではないが、どうやらダース・ベイダーの型があったようだ。ドンポストには他にもオリジナルモールドから型取りした型が存在していたようで、その型からボバ・フェットを抜いた人からもう一つ抜いてもらって売ってもらった事もあった。もしかしたら他にも何かあったのかもしれない。

ルービーズ社から発売されたダース・ベイダーはエピソード5版のプロップレプリカのようだ。efx社のダース・ベイダーもプロップレプリカのようだが、ルービーズ社もefx社もどの程度精密なプロップレプリカなのかが疑問。

ルービーズ社のダース・ベイダー。このマスクをジッと見ているとダース・ベイダーの美しさを感じる。
ルービーズ社(下)とefx社(上)のダース・ベイダー。スービーズ社の方が少し面長感がある。

ルービーズ社から発売された等身大もあるが、こちらはかなりの迫力。

ルービーズ社のダース・ベイダー等身大。2メートル級の大きさはかなりの圧を感じる。

ルービーズ社はハロウィン用コスチュームを販売しているメーカーだが、これが発売された当時はダース・ベイダー等身大のライセンスはルービーズ社しか許諾されていなかったので珍重されていた。

等身大という事でダース・ベイダーの大きさを体感できる。実に圧がある。2メートルでフォースが使えるのだから、オビ=ワン・ケノービが戦いを避けたがる気持ちもわかる(笑)

様々なダース・ベイダーのマスクが発売されているが、どれが一番良いのか?

それを求め今後もコレクションは増え続けると思うが、出来れば究極のプロップレプリカが欲しい。究極とは、オリジナルにシリコンをかけて型を作ったものからFRPで抜いた物の事を言う。

コピーを繰り返すと収縮するので直なら収縮も少ない。そういった物を手に入れられるチャンスが来る事を切に望んでいる。

コレクターの野望を文章にしたり口に出して言う事で、それが言霊となり実現していく気がする。2023年もコレクターとしての野望は尽きないのだ!!

なべやかん

© 株式会社飛鳥新社