「このくだらん選択をしたばか者ども」に野党が「逆襲」 反省に追い込まれた元アナウンサー 【コラム・明窓】

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 口は災いのもととはよく言ったものだ。先日の衆院予算委員会。自民党の丸川珠代元五輪相が過去に発したやじを巡り、立憲民主党が「逆襲」に出た。

 発端は2010年3月。児童手当の代わりとして所得制限のない子ども手当法案が参院厚生労働委員会で採決された際、当時の民主党政権に対し丸川氏が「愚か者めが」「このくだらん選択をしたばか者どもを絶対忘れんなよ」とやじを飛ばした。

 時代は移り、岸田文雄首相は「異次元の少子化対策」を掲げる。自民党内にも現行の児童手当を巡って所得制限撤廃の声も上がる中、民主党政権時に厚生労働相だった立民の長妻昭政調会長が、先の衆院予算委で13年前のやじに触れ「反省と総括がなければ、信じられるわけがない」と指摘。丸川氏は反省に追い込まれた。元民放アナウンサーで、言葉には人一倍気を使う立場のはずだが、改めて言葉の怖さを痛感したことだろう。

 この人は、その怖さを十分認識しているのかもしれない。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との接点を巡り、委員会での説明や記者会見に応じようとしない細田博之衆院議長(島根1区)。公の場で言葉を発しなければ、今も未来も言葉尻を捉えられる心配はない。

 とはいえ世間に対し沈黙を貫いてばかりでは「隠蔽(いんぺい)」「密室」といった悪評ばかりが広まってしまうだろう。人の口に戸は立てられぬ、ということわざもある。

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