国内初デイノニコサウルス類の足跡化石 福井県勝山市の1億2000万年前地層から発掘、県立恐竜博物館発表

福井県勝山市北谷町で見つかったデイノニコサウルス類の足跡化石

 福井県立恐竜博物館(福井県勝山市)は2月4日、勝山市北谷町の約1億2千万年前(白亜紀前期)の地層から発掘された足跡の化石が、小型の獣脚類デイノニコサウルス類と判明したと発表した。国内では岐阜や石川、熊本県など5カ所で同類の骨や卵の化石が見つかっているが、足跡の化石は初めて。県内にも同類が生息していたことを示す証拠となり、研究員は「福井の恐竜の多様性がまた一つ裏付けられた」としている。

 発掘された地層は、獣脚類フクイラプトルなど9種類の恐竜化石が見つかっている手取層群北谷層。県の第1次調査(1989~94年)で、91年に採集された化石を足跡専門の研究員が詳しく調べた。

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 足跡化石は長さ8センチ、幅4.7センチ。ティラノサウルスなど一般的な獣脚類の足跡化石には指が3本あるのに対し、今回の化石には2本の指だけがV字サインのように残されていた。デイノニコサウルス類は、鋭いかぎ爪のある指を浮かせて移動していたと考えられており、指の一つが一般的な獣脚類よりも長い点も同類の特徴と合致した。

 デイノニコサウルス類は小型の肉食恐竜で、アジアや北米などに広く分布していたとされる。分類学上は鳥に近く、羽毛で覆われていた可能性もある。足跡の大きさから、今回の個体は尾の先までを含む全長1.4~1.8メートルと推定される。

 福井県立恐竜博物館の柴田正輝主任研究員、築地祐太研究職員は「足跡が見つかったことで、この地層からデイノニコサウルス類の骨も発見される可能性がぐんと高まった。さらに調査研究を進めたい」と話した。

 同博物館は4日、福岡市の九州大で開かれた日本古生物学会の例会で報告した。デイノニコサウルス類の足跡化石は、4~5月に福井県産業会館(福井市)で開く企画展「THE恐竜in福井」で一般公開する予定。

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