“長崎港の改良事業” ユネスコ、世界遺産の景観悪化懸念  長崎県と市「指摘はない」

 県と市は、国連教育科学文化機関(ユネスコ)が水面下で日本側に伝えたとされる「懸念」について「ユネスコから指摘は受けていない」としている。
 長崎港松が枝埠頭(ふとう)の2バース化事業は、国の直轄事業。岸壁の長さは決まっているが、ターミナル施設の高さなどは未定。県によると、世界遺産周辺で事業を進める場合、遺産の価値に影響があるかどうかを評価する「遺産影響評価」の実施が求められることがあるが、「影響があるか、評価が必要かを含めて国に意見を聞きながら検討している段階」という。
 世界遺産登録決定に先立ち、2014年に改定した県長崎港港湾計画は「産業遺産の適切な保全に配慮しながら、港湾の開発及び利用に努める」と明記。県や市も配慮が必要という認識は一致しており、市は「グラバー園からの対岸の見え方や景観については改定時から協議してきた。影響がある場合は必要に応じて改善する」としている。

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