福井県の坂井JC新理事長にLGBTQ当事者 歴代最年少25歳、下川陽菜乃さん「一人でも多く受け入れられるよう発信」

坂井青年会議所理事長に就任し、LGBTQ理解促進など活動への意欲を示す下川さん(中央)。後方は同会議所関係者=福井県坂井市役所

 福井県の2023年度の坂井青年会議所(JC)理事長に飲食店経営の下川陽菜乃さん(25)=福井県坂井市=が就任した。第52代で歴代最年少の理事長はLGBTQ(性的少数者)の当事者で、理解促進への思いを強くしている。「一人でも多くの人にLGBTQが受け入れてもらえるよう発信できれば」と意気込んでいる。

 下川さんは福井県勝山市出身。高校中退後に同JCの先輩でもあるスナックのママの勧めで、坂井市丸岡町東陽の店で働くようになり、20歳で「まちづくり、人づくりを学び、多くの人とつながり自分を高めたい」とJCに入会。25歳の若手ながら理事長職にと白羽の矢が立った。

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 下川さんはLGBTQのうち、出生時の性別と自認する性別が異なる「トランスジェンダー(T)」。物心が付いたころから「好きになる人は『くん』じゃなくて、『ちゃん』でした」。心傷つく言葉を受けたこともあったが「いいんです、これが私。こんな自分を、周りのみんなは自然な感じで受け入れてくれた。なりたい自分のままで生きています」と屈託ない。

 マスターを務める職場をはじめ、坂井JCの会員にもトランスジェンダーであることは告げている。県内では越前市が性的少数者のカップルの関係を公的に認めるパートナーシップ制度を導入し、地元坂井市でも準備の動きが広がっている。ただ県内ではLGBTQの当事者は少なく、コミュニケーションを図れる機会は限られているという。

 「理事長職はある意味武器にできると思う。LGBTQを理解する、しないではなく、多くの人が受け入れられるよう自分の思いや経験を発信したい」と話す。

 理事長就任は1月1日付。坂井JCは会員が現在7人と最少人数でのスタートになった。活動を通して会員増強と相互の結束にも力を入れていく。

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