TNC×ホークスがコラボした連ドラ「1回表のウラ」。福山翔大、吉本実憂、カンニング竹山が会見

TNCテレビ西日本は2023年に実施する開局65周年記念事業の一つとして、同年にホークス球団創設85周年とドーム開業30周年を迎える福岡ソフトバンクホークスと共同で、ホークス球団を舞台にした連続ドラマを制作。3月4日から「1回表のウラ」(土曜午後5:00)と題して、4週連続で放送する。

物語は、福山翔大演じる戦力外通告を受けた元プロ野球選手・関口が主人公。球団職員として、23年の開幕戦セレモニーを任されることになった。元選手としてのプライドが捨てきれない中、同僚の清美(吉本実憂)らと準備を進めるが、突然、助っ人外国人が行方不明になったり、ハニーズ(球団オフィシャルダンス&パフォーマンスチーム)が内部分裂しそうになったり、ベテラン花火師(カンニング竹山)ともめてしまったりと、次々に難題が降りかかる。ほかにHKT48・豊永阿紀、原口あきまさ、デビット伊東、石橋凌らが出演する。

1月18日には福岡PayPayドーム(以下ドーム)内で、その撮影会と記者会見が開催され、福山、吉本、竹山が出席した。

――出演オファーを受けた感想は?

福山 「僕は福岡出身でして、ホークスのことがほんっとうに大好き。今でも143試合、毎日結果や選手の同行をチェックしている大ファンです。そんな球団の創設85周年、ドーム開業30周年というメモリアル企画に主人公という形で作品に参加させていただけることを大変光栄に思いますし、同時に責任というのも感じました」

――台本を読んだ時の感想は?

福山 「どんなこともうまくいっているスーパースターという役より、個人的には挫折も味わって一度戦力外通告を受けるという悲痛な思いを抱えているところに共感というか、やりがいのある役をいただけたなと思いました」

――ご自身と重なる部分は?

福山 「プロ野球は本当にシビアな世界だと思いますし、ずっと野球をやってきた人にとって区切りというか、戦力外通告を受けるという気持ちは、どういう感情になるんだろう?っていうのは、正直今でも理解はできません。でも、それを自分の感覚に近づけるために、たまたま今、俳優としてやらせていただいている中で『じゃあ君、俳優終わり、芝居やっちゃだめです』って言われたら、どういう感情になるのか、そういう置き換えから自分の想像を膨らませて、作品に参加させていただいているところです。なかなか、すぐに共感できるって言い切れないぐらい、くびになるのはいろんなことがあると思いますし。でも、寄り添って、そしてこの作品的には一度挫折したところから立ち直っていく、立ち上がっていく男の話でもあるので、そういうポジティブなところを表現できたらいいなと思っています」

――吉本さんは出演オファーを受けた時、どのように感じましたか?

吉本 「私も福岡出身で、昔からホークスが大好きで、以前からタカガールデーというイベントに光栄なことに携わらせていただいていて、今回は本当に幸せなことに大好きなお芝居、作品作りという形でホークスに携わらせていただくことが、幸せです」

――台本を読んだ時は?

吉本 「普段当たり前のように見ていたタカガールデーだとか、勝利の花火というものが、こういうふうに会議されて、球団職員の方は労力されて作られているんだなと、そういうところにすごく心打たれましたし、ホークスをいろんなたくさん方が支え、(一方で)ホークスの勝利が支えてくださる方を支えていて、その関係性がすてきだなと思いました」

――ちなみに清美は勝気な性格で、先輩である関口に対してズバッと物言うことはありますが、ご自身と重なる部分はありますか?

吉本 「勝気だと思います(笑)。言い方はどうであれ、私自身も言いたいことはちゃんと相手に伝えないと気が済まなかったりするので、そこは重なる部分かなと思います」

――この役で難しいと感じている部分はありますか?

吉本 「普段、役者という仕事をやらせていただいていて、支えていただくことが多いと思うんです。今回、清美っていう役は選手たちを、ホークスを裏で支える側として働くという役でした。支える側の気持ちってどういう感じなんだろうって、そこで少し迷いはありましたけど、でも清美自身がもともとホークスが大好きで球団職員になっているので、その熱量というものを常に意識して演じてはいます」

――カンニング竹山さんは、ドームの天井から花火を打ち上げるベテラン花火師を演じます。息子とけんかするシーンもありますが、オファーを受けた時の感想は?

竹山 「まず、3話と4話しか出ていないのに記者会見に参加して、どうもすみません(笑)。去年、TNCで別の特番を撮っていましたらですね、プロデューサーが勝手にずかずか俺の楽屋に入ってきて『お前、(ドラマに)出ろ』って言われて。パワハラみたいに決まったら、やる役もパワハラみたいな役でした(笑)。まあでも、僕もホークスが大好きで(関連の)YouTubeをやっていたんで、プライベートでも球場にやってきていて、そこに携わる役を演じられることはすごくうれしかったです。芸人以外でやりたかった仕事は?と、聞かれる時は、必ずホークスの裏方って話していたんですよ。ホークスのイベントを作ったりだとか、楽しそうだなと思っていたんで。今回、花火師という役ですけれども、とてもうれしかったですね。花火師がやりたかったわけではないんですが(笑)。台本を読んで、今日(撮影日)がとても嫌で。ドームの天井で撮影って書いてあったんです。僕、高所恐怖症なんで。本当にどうすりゃいんだって思ったんですけど、なんとか精神的に乗り切りました。こういうことは2度とできないんで、貴重な体験をさせていただきました」

――天井から見る景色はどうでした?

竹山 「いや、下を見ると震えちゃうんで、一切下を見なかったんですけど。やっぱり高いですね。あそこで毎試合、花火を準備されている方(本物の花火師)に、さっきお会いしましたけど、すごいと思いますね」

――頑固な役どころですが、ご自身とは?

竹山 「プライベートで(この)役みたいな言葉を使いますと、今はすぐに週刊誌でたたかれますから。使わないようにしているんですけど、でも幼い時に福岡で見てきたおじさんたちって、感じがしましたね。博多弁で言葉もきつくって、頑固な感じで。演じていて、それは気持ちよかったです。それから今回、台本を自分で紙に写して、より自分がしゃべりやすいような博多弁に直すという、その作業がいつもの映画やドラマと違って、ちょっと楽しかったです」

――では次に、ホークスやドームの思い出についてお聞きします。

福山 「まだ(年間)144試合制の時、印象に残っている試合がありまして、2011年ですかね、クライマックスシリーズで埼玉西武ライオンズさんと対戦していて、相手ピッチャー・涌井投手(涌井秀章投手。現中日ドラゴンズ)。127球、10回、長谷川選手(長谷川勇也元外野手、現ホークス打撃コーチ)が右中間を破るツーベースで同点、そしてシリーズ突破という試合を、ドームで見たのが、僕の中で最後の試合観戦だったんです。今回の撮影はそれ以来のドームとなります。その時も球場全体で地鳴りのような歓声が沸いて、スマートフォンの充電も落ちたんですよ。なんか(関連性は)分かんないですけど(笑)。それぐらい訳が分からないエネルギーが満たされていて、こんなに人が感動できる野球は素晴らしいと思いましたし、ホークスファンでよかったって。その試合を見た感覚のまま時が経って、今回久しぶりにドームへ戻ってきた時に、またバッターボックスに長谷川さんが立っている気がして、今だにその風景を思い出してしまいました」

――10年ぶりの景色はいかがでしたか?

福山 「やはり、たまんないですね。年間130試合以上観戦していた年もあったんで。もう感無量です」

吉本 「私は北九州市出身になるんですけど、ドームまで来るって、結構な旅(笑)なんですね。なので、父や母にドームまで連れてきてもらった時は、本当にテンションが上がっていたなと思います。大人になってからは始球式を2回、やらせていただいて。もちろん気合入れて練習して臨んだんですけど、2回ともワンバン(1バウンド)だったんですね。ぜいたくな心残りですけど、今後また挑戦できることがあれば、いろんな思いを乗せて投げさせていただいて、次こそはノーバンで(笑)」

竹山 「ドームができる前の『よかトピア(1989年開催のアジア太平洋博覧会)』がやっていた頃から、このあたりをうろうろしてましたけど。正直にいうと、ホークスが福岡へやってきてから(すぐ)のファンというわけではないんです。野球に興味のない時期があったんですけど、15年ほど前にソフトバンクさんの仕事をさせてもらって、その時初めてドームに来たんですけど『こんなに野球って楽しんだ』とか、球場に遊びに来ると『こんなに楽しいイベントがあるんだ』とか、ショックを受け、ホークスの大ファンになりまして。東京をはじめ各地の球場へ仕事や遊びで行くんですけど、やはりこのドームの試合がサービス満点で楽しいって胸を張って言えることが自慢です。それは自分がエンタメをやっている時にも参考になっています。どうお客さんを楽しませるかというのは、結構、ソフトバンクホークスさんによって教えられている部分は今もあります」

――SNSとかも頻繁に更新されていますよね。全球場に行かれたんですか?

竹山 「全球場ってわけではないんですけど、この球場はいろんなイベント、食べ物、仕掛けがあったりするんで、こんなに考えられているのはないなと、個人的には思っています。ファンとしては、とてもぜいたくな野球観戦をさせてもらっているな、という感覚はあります」

――そんな球場で、まさに撮影の真っ最中にありますが、ドラマの見どころをお聞かせください。

福山 「ホークスファンの方々がびっくりするような、スペシャルなゲストもご出演されますし、竹山さん演じる花火師の待機する場所であったりだとか、普段見ることができない、スペシャルなスポットもいっぱい出てきますので、そのあたりも見どころかと。そうですよね、竹山さん?」

竹山 「うんうん、確かに。あの場面は、なかなか。本当にここで撮るんだっていうくらいの」

――続いて、吉本さんは?

吉本 「主人公の関口さんが元プロ野球選手と球団職員とどちらも経験しているからこその葛藤だったり強さだったりが、ホークスのイベントと、そして人間模様とともに真っすぐに表現されている作品なので、ぜひ楽しんでみていただけたらと」

――続いて、竹山さんはいかがですか?

竹山 「はい。もちろんソフトバンクホークスの裏側も分かると思いますけど、ドラマとして面白いなと思うのは、舞台が福岡で、役者さんがほぼ福岡出身の方ばかりじゃないかという感じなんで。東京では、必ず方言指導の方がいらっしゃいますが、(今回は)いないんですよね。それは、みんな巧みに博多弁を、福岡の言葉をしゃべるから。自然に話す言葉で一つの作品ができていくのは魅力的で。こういうものが、今後もっともっと増えれば、親しみがあって面白いかなと思います」

――皆さん福岡に戻られると、すぐに方言って出るものですか?

福山 「出ますし、スタッフの皆さんも福岡の方々ですので、現場では博多弁が飛び交っています。もう、癒やしなんですよね。うれしいですよね?」

竹山 「2カ月ぐらい前、ほかの現場で(福山と)会ったんだよね。その時は役者とコメディアンとして1日一緒に撮影していたんですけど、お互い方言をしゃべんないから、まさか福岡の方って思わなくて。今朝知ったんですよ。『えっ、福岡?』って」

福山 「今日は僕が先に(撮影現場に)入ったんですけど、竹山さんとお話したくてしたくて。『やっと方言でしゃべれる』って」

竹山 「僕なんかは、役者さんが裏でも方言でしゃべっているというのは面白くて(笑)」

――福山さんは元プロ野球選手という役ですが、投手、捕手や野手といった設定はあるのでしょうか?

福山 「ピッチャーです。故障を抱えていたというシーンはありますね」

――演じられて難しかったことはありますか?

福山 「まだ、そのシーンは撮っていなくて(笑)。これから丁寧に演じたいなと思います」

――まだ、撮影は始まったばかりのようですが、現場の雰囲気はいかかでしょうか?

福山 「福岡って、いいところですね。人が温かくて、あらためて大好きになったんですけど、最初からチームワークもばっちりで。空き時間も和気あいあいと、楽しく撮影させていただいています」

吉本 「『何中(どこの中学校)?』とか(笑)。めっちゃコミュニケーションとったりだとか。今、東京に住んでいるので、地元の話ができることで『帰ってきたな』というのを、初日から実感できました」

福山 「『(福岡市の)何区?』ってなかなか聞かないじゃないですか? 東区とか城南区とか、その会話ができるだけで本当に楽しくて、ぜいたくな現場です」

――撮影中に、(福山さんが)投球や打撃のフォームをまねするところが見えたのですが…。

福山 「YouTubeで培ったものまねという特技があって(笑)。本当に大好きで、ホークスの選手もそうですけど、僕はホークスを通して野球を、12球団を、MLBも好きになり。すべてはホークスから始まったんですけど。それくらい野球が大好きです」

吉本 「(福山がフォームをまねして)よくクイズを(出します)。この選手は誰でしょう?って(笑)。細かいんです。上手なんですよね」

福山 「(照れて)ちょっとあまり言わないでください」

――そんな撮影チームに本日加わった、竹山さん。いかがでしたか?

竹山 「和気あいあいとしたチームで、いい現場だなという雰囲気はしましたね。程よい緊張感もありますし、スタッフさんも演者さんも、一つの作品をみんな仲良く作り上げている感じはしたので。ここから、いろんなゲストが入ってくると思うんですけど、入ってきても楽しい現場になるだろうと思います」

――今季のホークス選手で誰がMVPとなるのか。それぞれの役柄の目線で挙げてください。

福山 「昨季は多くの若手が台頭した年でもあるので、投手と野手、1人ずつでもいいですか? 投手は板東(湧梧)投手に期待しています。将来、海を超えるであろう選手になるきっかけの2023年になるだろうと見ています。打者では上林(誠知)選手。けがなどもあったと思うんですが。それから、やっぱり栗原(陵矢)選手が復活していただけないと打線に厚みがでないのかなと。今、筋トレですごく体も大きくなって、飛距離も伸びていると思うので。ホームランテラスを越え、スタンドまで右に左にホームランをいっぱい打ってくれるんじゃないかと思います。以上、球団職員でした(笑)」

吉本 「そんなふうにはしゃべれないんですけど、私は人生で初めて見たホークスの試合で和田毅投手が投げていて、子どもながらにサウスポーに魅力を感じ、そこから応援させていただいていて、今もなお投げられているので、すごいなと。頑張ってほしいです」

福山 「この作品以外で何度か(吉本と)共演させていただいたんですけど、別の作品でも、ずーと言ってたんです。ホークスなら和田投手って。大好きみたいです(笑)」

竹山 「僕は本音でいうと、去年までずーと応援していたガルビス(フレディ・ガルビス内野手)。どうなってんだよって。(開幕戦で満塁ホームランを打って以来)いつまで打点4のままだよって(笑)。なんとか今年、活躍してほしいというのはあります。それから、いろんな選手を補強したんですけど、でもやっぱり打者でいうと栗原選手。今年、どう活躍するか。それと、投手陣なら藤井(皓哉)投手ですよね。(MLBへ移籍した)千賀(滉大)投手が抜けた穴を(埋めるなら)というか。藤井投手のフォーク(変化球のフォークボール。千賀投手の決め球でもある)もすごいから。今年さらにどれくらい成長するのかというのもあります。それから、他球団のファンからヤンヤン言われることもあるんですけど、補強でメンバーがそろっているから、開幕スタメン、誰なんだろうっていうのが(楽しい)。それを東京で、福岡出身の髭男爵・ひぐち君と飲みながら4時間(笑)、話していました」

――では、最後に、視聴者にメッセージをお願いします。

福山 「この作品は160km/hの球を投げるエースピッチャーの話でもなく、スタンド上段に放り込むパワーを持つ四番打者のスーパースターの物語でもなく、一度プロ野球の世界から足を洗い、クビになった、1回どん底に落ちた選手が再び立ち上がっていく物語です。そんな内容だからこそ、皆さんへ伝えられる、人と人との支え合いだったり、ぬくもりだったり、人の心の機微みたいなものが多く詰まった作品になっています。そして、人は1人では生きていけなくて、それぞれ職業があって、いろんなポジションの人がいて、成り立っています。今回はソフトバンクホークスさんという球団の物語の中で、いろんな役職の方、ポジションの方が毎回、登場します。その人間模様も、ぜひ注目していただきたい。このドラマを見ると、本当にドームに足を運ぶことが楽しくなると思います」

吉本 「普段、見ることができない景色が存分に詰まった、福岡っぽい、熱い作品になっているので、ぜひ見てくださる方は、自分が経験したドームの思い出を思い出しながら見ていただければ、うれしいなと思います」

竹山 「ホークス球団全面協力の下、ドームの中のことだったりとか、すごく面白いと思うんですよね。その辺を楽しんでいただきたいのもありますし、まあ、球場へ足を運んだ時、天井を見上げて、『ああ、あそこに竹山がいるんだな』って。それくらいリンクした番組です。開幕に向けて裏方みんなで頑張っている姿をドラマ化した作品ですので、業界の裏側を見る…じゃないですけど、そのあたりも楽しんで見ていただけたらと思います」

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