農家と歩く“日本の郊外”「名古屋」 冬の和食を体験する一日旅

『篠島の旅』に続く、「愛知県農林水産物インバウンド需要拡大事業」のモニターツアー、第二弾。今回も名古屋エリアで生活する外国人の皆さんとめぐった、旅の様子をお伝えします。

日本の農家の日常を体験

今回は、農園の散策からスタートし、日本の住まいや和食を経験・体験するなど、盛りだくさんの内容。

モニターツアーのパンフレット

名古屋を「日本の郊外」として、旅のフィールドにするコンセプトは面白いですね。外国人の皆さんはどのように捉えたでしょうか。

経験したことのないツアーに期待が高まります

前回に続き、今回のモニターツアーも出発地は金山駅。外国人の国籍は、ブラジル、ベトナム、タイ、韓国、ペルーと多彩です。「日本で生活する外国人」という同じ境遇からか、皆すぐに打ち解けていました。

名古屋みなと農園で冬野菜の魅力に触れる

温かい豚汁が準備されていました

最初にバスで到着したのは名古屋市港区にある「名古屋みなと農園」の畑。ウェルカムドリンクならぬ、ウェルカム豚汁がもうすぐ完成します。

赤だし(豆味噌)ベースの豚汁

美味しそうでしょう!

それでも、外国人の皆さんはどんな味なのか不安そうでした。

「ベトナムには味噌がない」との声も聞かれましたが、気に入ってもらえたでしょうか。

畑で食べる豚汁は美味しさ倍増!?

目の前で採れた冬野菜をふんだんに使った豚汁は最高の味でした。旅の最後に訪ねる、うどん店のダシを使って調理したそうです。「赤だしは苦手」と言っていた外国人も「美味しい、美味しい」と食べていました。

※宗教的に豚肉が食べられるかの確認は事前に行っています。

「名古屋みなと農園」の板野(ばんの)克也さん

農園で様々な野菜について学びます。先生は「名古屋みなと農園」の板野克也さん。30種類以上の野菜を栽培しているとのこと。日本人向けにも畑をまわり、野菜を持ち帰ってもらうツアーを実施しているそうですが、外国人を相手にするのは初めて。

畑の野菜をちぎって試食する参加者

「野菜が夏に辛いのは、虫に対する防御。だから、虫がいなくなる冬は野菜が甘くなります」。板野さんの講義を聞きながら、畑の野菜をちぎって食べて、大いに納得。

外国人の皆さんからも様々な声があがります。

「日本では畑で一つ一つの野菜を大きく育てようとしますね。私の国では土地が広いので、そのような育て方はしません」(ペルー人参加者)

「自宅で食べる野菜は、家の畑で育てるのがあたりまえ」(タイ人参加者)

異口同音に聞かれたのは「日本の野菜は甘い」ということ。「日本の唐辛子はまったく辛くない」(タイ人参加者)とのことですが、見渡してみると“辛い料理”が有名な国の人ばかりでした・・。

ミニキャベツはこのように育つそうです

畑を後にした参加者一行は「名古屋みなと農園」の販売所(名古屋市港区藤高5-30)に移動します。毎週木曜日に畑で採れた野菜を販売するほか、コーヒーが飲めたり、お弁当やおでんが買えたりするコミュニティスペースになるそうです。この時期に収穫できる様々な野菜を並べて頂き、板野さんの「野菜教室」が始まりました。

板野さんが栽培した野菜たちは、珍しく、そして美しいものばかり
手に持つ「黒大根」は板野さんのお気に入り
参加者のリクエストで販売会がスタート、写真は筆者がゲットした野菜です

阿南商店で日本建築の特徴を学ぶ

さて、次は「名古屋みなと農園」の販売所から、竹の卸商「阿南(あなん)商店」(名古屋市港区新茶屋3-1126)に移動します。竹をはじめ、日本建築の建材について勉強スタート。引き続き、「名古屋みなと農園」の板野さんがコーディネートしてくれます。

身振り手振りで、外国人にも分かりやすく、日本の建材を説明する「阿南商店」の阿南公明社長(正面右)
会社の社屋も立派な古材を再利用した日本建築で、古来の方法で釘を使わずに柱や梁を組み立てたそうです
阿南商店が用意してくれた竹とんぼを飛ばす参加者

「おきな」で日本食を体験

本日、最後のプログラムです。うどんを中心とした食事と和風カフェとしても営業する「おきな」(名古屋市港区新茶屋2-1716)で、“日本の食”を学びます。「だし取り体験」「日本茶飲み比べ」「五平餅づくり」「うどん調理見学と試食」など盛りだくさん。その一部を紹介します。

純和風の店舗「おきな」は現在、“和かふぇ”として営業しています。
「だし」について説明する “おやかた”(現店主のお父様)
外国人の皆さんは「だし」の概念にピンとはこないようでした
五平餅づくりに挑戦
火鉢の炭で焼きます
完成した五平餅を手に持つブラジル出身の参加者
参加者のリクエストで「うどん」の調理場見学がはじまりました
うどんを茹でる様子に興味津々
完成したプリプリのうどんは参加者全員でいただきました

以上、内容盛りだくさんの体験ツアーをレポートしました。今回もこのツアーに参加した外国人の皆さんの感想を紹介します。

「色々な野菜を見て、食べて、安く買うこともできて、嬉しかった」

「飲みくらべしたお茶の中に、母国のお茶にそっくりの味のものがあり、懐かしく感じた」

「うどんを茹でる釜がとても大きくて驚いた」

「農業の勉強は楽しい。肥料の作り方や土のおこし方なども学びたい」

【当事業についての問い合わせ先】
「愛知県農林水産物インバウンド需要拡大事業」受託
㈱アルファポイント(愛知県知事登録旅行業2-1311号)
電話052-262-5558
メール info@kokomirai.com 担当=中野

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