蘭乃はなを主役に迎えた秋山純監督最新作「TOKYO RED 鉛丹」製作発表会

日本初のサイレントシアター、代官山シアターギルドで 11 日間に渡り特集された「秋山純の描く映画世界」のフィナーレとして、昨年19週間にわたるロングラン上映を記録した「20 歳のソウル」が上映された。上映後、秋山純監督が登壇し、2023年の新作映画「TOKYO RED 鉛丹」の製作発表が行われた。

主演の蘭乃はな(元宝塚歌劇団花組娘役トップ)を先頭に、加藤雅也、フェルナンデス直行、吉田玲など総勢 9名の俳優陣が登壇。 「20歳のソウル」にも出演した若林時英もメインキャストとして出演しており、本制作発表への出席は叶わなかったものの、直前まで駆けつけることを模索するなど、本作に並々ならぬ情熱を伝える一幕もあった。

秋山監督から主役のオファーを受けた蘭乃はなは 「撮影本番はキャストスタッフ共にプロフェッショナルな方々に囲まれた安心感の中、私はただただ無心になって集中して芝居するのみ、という有難い環境でした。雪菜という女性が六本木の街を歩きながら様々な人と会い、過去・現在・未来を行き来しながら自分自身を見つめます。極限の状態でこそ発揮できる私の能力を信じてくれている監督に感謝しています。」

俳優の加藤雅也は、出演に加え、映画の世界観をスチールという角度から伝える写真撮影では、自らカメラを取った。
「『20 歳のソウル』の監督だとお聞きし、お会いしてみると、表現することの多様性を探し求めているところで、自分と重なるところがありました。TOKYO RED のお話しを頂き、脚本を見た時、その予感は確信に変わりました。脚本を読み込み、新たな世界観を形作る写真を撮りたいと、監督に提案しました。自分の出演シーン以外は、カメラを構えていた気がします。写真集を作ることが出来るくらい、たくさんの写真を撮りました。創作意欲を刺激してくれる楽しい現場でしたね」

また、「20歳のソウル」原作・脚本の中井由梨子は、「TOKYO RED 鉛丹」では、俳優として出演。蘭乃はなと火花を散らす怪演で、唯一無二の世界観を示した。

制作発表の最後に、蘭乃はなと吉田玲が、本作に登場するダンスシーンを生で披露。蘭乃の強い希望で、日本ミュージカル界の第一人者として国内外から高い評価を受ける振付家、前田清実と秋山監督とのコラボが実現。研ぎ澄まされたパフォーマンスで会場を魅了した。

吉田玲は、大林宣彦監督の遺作となった「海辺の映画館〜キネマの玉手箱」で、ヒロインに抜擢され、映画デビューした大型新人で、ミュージカルの舞台にも数多く出演している。 「私は3歳の頃からジャズバレエやヒップホップを学んで来ましたが、 今回のような“心の中”から“体の中”からエモショーナルに表現するような、ジャンルに縛られないダンスは初めてでした。蘭乃はなさんに引っ張っていただき、自分らしく表現出来た気がします」と語った。

秋山純監督は「春には日本で先行公開して、それから世界の映画祭に出品していきます。ストリートロケ、ワンカット長回しで撮影した映画は、世界でも類を見ないと思いますし、TOKYOの今の空気感、俳優の息遣いをダイレクトに伝えることが出来る作品になりました。期待して待っていていただきたい」と意気込みを語った。

公開日 : 2023年春 東京にて先行公開予定
タイトル : TOKYO RED 鉛丹
出演 : 蘭乃はな(雪菜) / 加藤雅也(松原) / 若林時英(北條) /
フェルナンデス直行(中村真人) / 吉田玲(優香) / 中井由梨子(LADY X) /
松谷鷹也(刑事 K) / 小林知史(浮浪者) / 山元郁(ソムリエ)

脚本 監督 : 秋山純

【TOKYO RED 鉛丹 あらすじ】
ミュージカル俳優の吉永雪菜(蘭乃はな)は、32 歳の誕生日に、恋人の真人(フェルナンデス直行)から、六本木のレストランでプロポーズされ る。 付き合って 4 年。まわりからも、相思相愛に見えた二人。 しかし、雪菜は、真人からのプロポーズを断り、指輪を返すと、夜の街に飛び出した。 気づいた時には、街を彷徨っていた。 バッグも上着も、スマホさえ置いて来た。 東京タワーがオレンジに光っていた。
「この服の色は、東京タワーの色じゃない。朱塗りの色でもない。」
Red lead 鉛丹。卑弥呼が纏った赤。ポンペイレッド。2000 年前に、火山の噴火で消えた、 イタリアの街ポンペイが発掘された時、街に溢れていた色。 栄華と悦楽に溢れた街を、包み込んだ幻の赤。 「真人、私は、あなたが思う私じゃない。私は…」
雪菜が東京タワーを見据える。
雪菜「mon rouge est plus rouge que le tien」(私の赤は、あなたより赤い)
雪菜は、行くあてもなく、街を歩き始める。 部屋に帰ったら、きっと真人がいる。 バッグや上着を持って、ドアの前で待っているに違いない。 そんなことも、なぜか無性に嫌だった。
彷徨う街中で、雪菜は次々と自分の過去に出会う。昔の男、北條(若林時英)や芸能事務所の松原社長(加藤雅也)が現れては消える。 六本木のレストランから、歩き続けた雪菜が、辿 り着いた場所は? 人生を彷徨い続ける一人の女性を、ストリートロケ、無編集で描きます。

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