「きのうがなければ…とは思わない」 小平智が取り返した“+7”

小平智は4日目にバーディラッシュを見せた ※撮影は2日目(Ezra Shaw/Getty Images)

◇米国男子◇AT&Tペブルビーチプロアマ 4日目(5日)◇ペブルビーチGL(カリフォルニア州)◇6972yd(パー72)

日没が迫る最終ラウンドの後半6番(パー5)、小平智は3打目のアプローチを寄せて“この日”7個目のバーディを奪った。強風に翻弄された前日の第3ラウンドで落とした分を取り返し、通算7アンダーまでカムバックしてみせた。

「きょうの始まりは予選通過をしないといけないところからだったので」。予選通過圏外のイーブンパーから、順延された5ホールに臨んだ。5Wで2オンに成功した16番(パー5)、3mに絡めた18番のセカンドと土壇場でショット力が光った。

18番のバーディパットを沈めて拳を握ったのは、「自分の中では『2(アンダー)じゃないと(通過は)無理』と思って、『2』にできた。結果的に1アンダーも入りましたけど、ダメかもと思って(決勝に)入るのと、自分で入れると思って行けるのは違う」。勢いのまま、最終ラウンドの5バーディ奪取につなげた。

最終ラウンドの前半15番、珍しくセカンドでクラブジャッジに迷う様子を見せた。残りは142ydで、8Iと9Iの2択だった。大きめの8Iをゆっくり振って、手前ピンの右横3m弱と距離感を合わせたバーディ。「迷っていてもリズムよく打てた」と話すのは、前日の悔しいラウンドが糧になったから。「あれ(とてつもない強風)を経験できたから、自分の中で経験値のレベルが上がった。『これくらいなら大丈夫でしょ?』じゃないですけど…」と言った。

2打差6位スタートから一転、カットラインを見上げる展開になった3日目の“+7”。もちろん悔しさはいっぱいでも、「『あれがなければ…』とは思わない。あれがなかったら、(取り返そうという)この気持ちになっていないですし、今はないわけですから」というのが小平の思考回路だ。

良いことも悪いことも、すべてを力にして目の前の一打と向き合う。月曜日の残り3ホールもマインドは不変。朝イチでペブルビーチGLの名物ホール・108ydの7番(パー3)に立つ。(カリフォルニア州ペブルビーチ/亀山泰宏)

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