本番さながらに連携 串本・古座川町で津波災害対応訓練

倒壊家屋から要救護者を助け出す訓練(4日、和歌山県串本町サンゴ台で)

 和歌山県の串本、古座川両町にある15の機関や団体でつくる「串本・古座川官公署等連絡協議会」の津波災害対応訓練が4日、串本町サンゴ台の消防防災センターであった。消防や警察、海上保安署、自衛隊、役場など12の機関や団体の80人が参加。情報収集や伝達、救出などの訓練を通じて連携を確認した。

 コロナ禍の影響から3年ぶりの実施で串本町消防本部が主催。被災して県や国の救援活動が本格化するまでの段階で、各機関が連携し、町民の救助、救援活動を効果的に行えるようにすることを目的にした。

 新宮署、串本海上保安署、航空自衛隊串本分屯基地、串本町役場、古座川町役場、串本国道維持出張所、県水産試験場、東牟婁振興局串本建設部、潮岬青少年の家、関西電力送配電、JR西日本串本駅、串本町消防本部が参加。訓練は、同日午前9時半ごろ、紀伊半島沖から四国沖を震源とするマグニチュード9.1の地震が発生し、気象庁が串本町沿岸に「大津波警報」を発表したと想定した。

 はじめに住民の高台避難を促す町の防災放送が流され、国道維持出張所のパトロールカーや海保の巡視艇むろづきも出て避難を呼びかけた。

 続いて、無線を使って消防が各機関と連絡を取り、被害の情報収集や伝達の訓練をした。消防空撮隊はドローンによる上空からの情報収集もした。

 倒壊家屋からの救出訓練では、警察や自衛隊がチェーンソーを使ったり、がれきの撤去をしたりしながら要救護者を救助。途中、余震が起きたとして、いったん退避し、収まった後に再開するなど本番さながらに行った。

 歩くことができるかどうかや、けがなどの状態を見極めるトリアージを実施しての傷病者の搬送や、消防と自衛隊が連携しての建物消火訓練、橋杭海水浴場での県防災航空隊ヘリコプターによる孤立避難者の救出訓練もした。

 訓練後、田嶋勝正串本町長は講評で「こうした訓練を通じて防災や災害への意識を高める中で、いざ災害が起きた時には即、対応できる体制をとっていきたい。一層の尽力をお願いしたい」と話した。

傷病者の状態を見て搬送する訓練をする消防救急隊
消防や自衛隊が連携しながら実施した建物消火訓練

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