「マスク」アンケート 「家族が病気 継続したい」「強制する目つきやめて」「専門家による啓発大切」

昨春はマスクを着用して行われた学校の卒業式。今春は緩和の方向で検討が進んでいる=2022年3月、長崎市内( 写真を加工しています)

 「屋内で人が多いと不安」「周りの目が気になる」「各自で判断できる」-。3年間続くコロナ禍で感染対策の一環として多くの人がマスクを着用してきた。政府は個人の判断に委ねる形でルール緩和の方針を決定。その時期や効果的な着用の場面を示すとし、今春の学校卒業式での着脱についても詰めの検討が進む。長崎新聞社が情報窓口「ナガサキポスト」のLINE(ライン)で意見を募ると、さまざまな声が寄せられた。一部を紹介する。
 重症化リスクがある人やその家族、医療・介護などの現場で働く人からは慎重な意見が多く寄せられた。持病があるという長崎市の70代男性は「政府方針に失望。高齢者や基礎疾患のある人を見捨てた」。同市の60代女性は「家族が抗がん剤治療をしているので(今後も)着用するつもり」。
 アレルギーでワクチンが打てないという島原市の40代女性は「マスクを着用しても不安な日々。国の政策はワクチン接種ありきで打てない弱者に何の配慮もない」。介護施設を経営する長崎市の60代男性は「個人判断になると、職場ではマスクをしていても、私生活はしない人もいるはず。具体的に『自身の病気や職業などで適切な判断を』と言う方が安心」と考える。

 同調圧力を心配する意見も多数。長崎市の60代女性は「強制ではなかったはずなのに他人の視線を気にし過ぎて、はめざる得ない状態がおかしいと思っていた。ほっとしている」。諫早市の60代男性も「個人の自由。不安のある方は着用が大事だが、強制する目つきはやめてほしい」。長崎市の40代男性は「外したいけど職場のトップが着けろと言うんだろうな」とぼやく。
 着脱の判断についてはほとんどの世代で「場面に応じて」と臨機応変に対応する考えの人が多かった。長崎市の60代男性は「新型コロナについては皆さん情報をたくさん知っていて、それぞれ判断ができると思う」。同市の40代男性はインフルエンザ対策を例に挙げ、「一人一人の判断でいい。もうその段階」。南島原市の60代女性は「人に感染させない、または自分自身が感染しないために適宜着用の有無を考えればいい」。

 マスク着用による弊害を心配する意見も。長崎市の40代男性は「重症化リスクが高い人を社会全体で守る必要性は5類移行後も変わらない」としながらも「幼い子どもの場合、(周囲がマスクを着用していることで)表情から感情を読み取る能力が培われないかもしれない。熱中症の危険もある。各自が判断できるように政府や専門家による啓発が大切だと思う」と話す。
 マスクの効果が限定的という意見もあった。大村市の20代女性は「(着用は)精神的な不安を与えないことがメインな理由」と感じ、長崎市の10代男性は「マスクをする=感染症に絶対かからないわけではない」。同市の50代男性は「対策は換気一択。飛沫(ひまつ)感染対策としてのマスクや消毒は限定的な効果しかない」との考えを示した。

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