狭小空間に寝室もリビングも。工夫をこらした軽&コンパクトカーが人気/ジャパンキャンピングカーショー2023

 2月3日(金)から2月6日(月)までの4日間、千葉県の幕張メッセで日本最大級のキャンピングカーが一同に揃う『ジャパンキャンビングカーショー2023』が開催された。バンコン、キャブコン、トレーラーなどの多彩なキャンピングカーが展示されるほか、エアコンやサブバッテリー、足まわり系部品やアウトドアレジャーのグッズまで、“キャンプ”をキーワードにした最新製品がズラリと揃っている。

 会場で目立っていたのは、1名〜2名での“クルマ旅”を想定したコンパクトサイズのキャンピングカーの躍進だ。ここ数年、軽自動車や2.0リッター級のコンパクトカーをベースに車内をカスタマイズしたモデルが増えていたが、その流れは今年もさらに加速している。

 軽自動車&コンパクトカーのクラスは従来、フラットなベットスペースで快適に“寝れる”ことを最も重視したカスタマイズが大半だったが今年、展示されていた最新モデルの多くは、“寝れる”だけではなく、狭い室内空間をより快適に楽しく過ごす“工夫”にあふれていた。

 そのひとつが、エアコンや冷蔵庫などの“家電製品”の設置だ。各メーカーやビルダーは狭い室内空間のなかに、いかに効率的に配置するかを考え抜いている。小さいながらも“使う”ことを前提としたキッチンやテーブルも完備しているモデルも見受けられた。

スズキ・エブリイやダイハツ・アトレーなどをベースに仕立てた軽キャンパーは、少人数での旅行を検討しているユーザーから人気。
1BOXをベースにした軽キャンピングカーの室内は、小型の家電も設置されて快適度は高い。

 次に注目したいのは、ベースモデルの種類が増えていることだ。キャンピングカー仕様のベースモデルの“定番”といえば、1BOX型ミニバンのトヨタ・ハイエースだ。

 ハイエースは車両としての信頼性の高さに加えて、広い箱型キャビンで効率的に室内空間を活用できるため、今でも人気は高い。だが、ハイエースの一強時代は終わり、ミドルサイズのミニバンやSUVをベースにしたキャンピングカーが増えてきている。

日本のキャピングカーブームを力強く牽引してきたハイエース。今後も主役を張り続けるのは間違いないだろう。
トヨタ・ハイエースをベースにしたキャンピングカー。

 例えばミドルサイズミニバンのトヨタ・ノア/ヴォクシーは、室内空間の広さはハイエースに及ばないが、走行性能や快適装備の充実度はハイエースを上回っている。サイドオーニングやルーフトップテントなどを活用すれば、レジャーでの利便性も、ハイエースに近い性能を得ることができることもあって、多くのメーカー&ビルダーから注目を集めている。

トヨタ・ノアやシトロエン・ベルランゴのようなミドル級モデルをキャンパー仕様に仕立てたモデルが展示されるなど、ハイエース以外のモデルの躍進ぶりが目立った。
シトロエン・ベルランゴをベースにしたキャンピングカー

 また、2022年にステランティスがキャンパーモデルのベース車として国内導入を開始したフィアット・デュカトも、今後見逃せない存在だ。価格面においては、ハイエースよりも高額だが、スタイリッシュなフォルムと広い室内空間が両立するパッケージ、最高出力180psがもたらす走行性能などは、キャンパーたちに魅力的に映るだろう。

ストランティスが国内仕様車として導入を開始したばかりのフィアット・デュカト。各キャンピングカーメーカーから発売が開始された。欧州で揉まれた広々キャビンと走行性能で、ハイエースに代わる存在になりうる可能性も十分。
豪華キャビンを売りとするキャブコンキャンパーも安定した人気。ハイエースなどのバンコンキャンパーからステップアップを検討しているユーザーは変わらず多いそうだ。
電気製品の標準化が進むことで、サブバッテリーの性能進化も著しい。大出力大容量の高性能リチウムバッテリーも本格普及しそうな気配だ。
硬めのアシはキャンピングカーの泣き所だが、それを大きく改善するエアサスキットも問い合わせが急増している。アフターパーツの充実ぶりも見逃せない。

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