ランタン閉幕

 銅座川の水面で揺れていたのはピンクのちょうちんだった。赤や黄色、オレンジの明かりが街をにぎやかに暖かく照らす。温かい食べ物や中国菓子の店先には長い列が見える。やたらと目につく気がするのは他県ナンバーの車▲メイン会場の湊公園のそばを期間中に車で通って、そのたびに盛況ぶりをうれしく実感した。一昨日の日曜日に閉幕した長崎ランタンフェスティバル▲3年ぶりの開催。開幕日の点灯式は雨に見舞われ、最初の週は“最強寒波”が列島をまるごと覆った。長崎市の推計によると期間中の集客数は約53万人。数字だけ見れば、今年の集客数は30年近い歴史の中で少ない方から5番目なのだというのだが▲昨日の記事には「いい『再始動』になった」とのコメントが。たくさんの人に来てほしい、見てほしいけれど、極端な混雑は回避しながら…。文字で書くのは簡単だが、なかなかの難事業だ。巧みに乗り切った充実感がのぞく▲県境を越えた人々の行き来や、行列や人だかりを反射的に「感染リスク」と同視してきたこの3年間のことを改めて思う。県外ナンバーを「へえ、そんなに遠くから」と柔らかな視線で歓迎できるところまで、気持ちも戻ってきた▲長く待ち望んだ“出口”は、そこまで来ている。何回かそう感じた2週間だった。(智)

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