【抗菌薬調査】生活者の4割が「ウイルスをやっつける」と誤認/AMR臨床リファレンスセンター調査

【2023.02.07配信】国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院 AMR臨床リファレンスセンターは2月7日、抗菌薬(抗生物質)の処方に関する生活者調査の結果を公表した。それによると、生活者の4割が抗菌薬の効果について「ウイルスをやっつける」と誤認していることなどがわかった。同センターでは、細菌に抗菌薬が効かなくなる薬剤耐性(AMR)の原因の1つとして抗菌薬の不適切な使用が挙げられており、薬の正しい使用のためには生活者自身の正しい認識が必要としている。

調査はインターネットにより行われ、全国の20歳-69歳の過去3年以内にかぜ症状(発熱・のどの痛み・咳・鼻水・くしゃみなど)で医療機関を受診し、お薬手帳で処方薬を確認できた人を対象に行った。有効回答数は400。お薬手帳を見ながら最大10種類の処方薬を転記してもらい、調査者(医師)により処方薬の中に抗菌薬が含まれているかどうか確認するという方法で調査を実施した。

その結果の概要としては、かぜ症状で受診した際に、49.3%の人が抗菌薬を処方されたと思っていた (実際の抗菌薬処方の有無にかかわらず)。
また、抗菌薬を処方されたと思っていた人の65.0%は、実際には抗菌薬は処方されていなかった。
さらに、40.0%の人が抗菌薬の効果として「ウイルスをやっつける」と誤認していることなどがわかった。

かぜ症状で医療機関を受診した際に処方された薬の中に抗菌薬が含まれる割合については19.0%だった。
処方薬の中に抗菌薬が含まれていると思う割合は49.3%。
処方薬に抗菌薬が含まれていると思うか、と実際に含まれるか、の一致については正しい認識率は66.3%。
「含まれている」と思う人のうち、実際に抗菌薬の処方がなかった人が65.0%いた。

調査結果を受けて、同センター 情報・教育支援室長の藤友結実子氏は、「多くの方が抗菌薬について誤解している、 もしくは知識が十分でないことが見えてきた」「抗菌薬が具体的にどの薬かわかっていない人が多くいることも示された」などの見方を示した。その上で、「ほとんどの人は医師や薬剤師の説明を聞いているものの、 あまり話を聞いていないという人も少なからずいる。理由として、“聞いても難しくてわからないから”が最も多くみられた。医療従事者は患者さんが理解しやすい説明を工夫することが必要」とコメントしている。

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