韓国紙「1兆円投じた日本のジェット旅客機開発が頓挫」...韓国は開発可能なのか?

韓国聯合ニュースは6日、共同通信や読売報道を引用し、三菱重工業が日本初の小型ジェット旅客機である「スペースジェット」(旧MRJ)の開発を完全に中断し撤退する方針を固めたと伝えた。

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三菱重工業は2008年に90席規模の小型ジェット旅客機開発事業に着手し、全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)など国内外航空会社から約300機を受注していた。

同社はこれまでジェット旅客機の開発に約1兆円を投入したが、頻繁な設計変更や生産の問題で納期を相次いで延期していた。

コロナが拡散した2020年には航空需要が減少し、利益を出しにくいと判断して開発事業を凍結した。以後、米国の飛行試験拠点を閉鎖するなど段階的に事業を縮小してきた。

スペースジェット/CHIYODA I

韓国では以前からMRJに関心を示しており、2015年に11月にMRJが初の試験飛行を行った際も多くの韓国メディアがこれを報じていた。MBNニュースは当時MRJについて「航続距離は3400kmと短いが燃費は同クラスのものより20%改善された」「競争力があると評価された」。さらに「日本は第二次大戦当時2万5千機の軍用機を作っていた空の強国だった」などと伝えている。

左派系の京郷新聞は「日帝の怪物が再び目を覚ます」と伝えると、聯合ニュースは「日本の航空産業復活の先兵」「世界市場を本格攻略する」などと報じていた。当時はちょうど中国の国産ジェット旅客機ARJ-21も試験飛行が開始されていたことから、「中国に続き日本もジェット機の国産化」という各紙記事見出しも目立った。ARJ-21はその後、無事に就航し、先月は初めて海外(インドネシア)に納入されたことで話題となった。

一方、韓国のジェット旅客機事情はどうなのか?残念ながら開発はされておらず、ジェットエンジンの国産化が議論されている程度だ。韓国の総合情報サイト「ナムウィキ」によると、韓国のジェットエンジン事情について次のように解説されている。

「大韓民国のジェットエンジン技術水準は早ければ1940年代、遅くとも数十年前から航空機エンジンを開発してきた米国や欧州、日本などの一部の国々に比べて、韓国は21世紀に入ってようやく航空機用エンジンを本格的に開発するなど、かなり参入が遅い」(ナムウィキ・ジェットエンジン解説ページから抜粋)

一方で同解説によると、ライセンス生産によって同エンジンの開発ノウハウはかなり蓄積されており、設計図さえあれば韓国企業でも既に生産可能なレベルに達しているという説があると紹介されている。

2022年1月14日には当時のムン・スンウク産業相が「関係省庁とジェット機級(1万lbf以上)ハイテクエンジン開発を積極的に検討している」と述べ話題になった。これは韓国の国産闘機KF-21に搭載するためのものだ。

韓国の左派系紙ハンギョレ新聞(2022年1月29日付)はこれについて、やや懐疑的な目を向けており、ジェットエンジンの開発は「高難度の技術を必要とする領域」「ムン長官が話したジェットエンジン開発はより遠い未来の課題のように感じる」と指摘した。

同紙は韓国産業省関係者の取材をもとに、同エンジンの開発が10~15年以上かかるミッションであることや、民間旅客機用のエンジンとなるさらに巨額の開発費がかかり、国際的な信頼も得なければならず、「技術の次元が異なる」と伝えている。

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