渡辺貞夫、音楽生活70年以上のベテランの 「サックスとの出会い」は？

東海ラジオ『urban jazz night with diskunion（アーバン ジャズ ナイト ウィズ ディスクユニオン 火～金 21:00～21:40 DJ村上和宏）1月31日と2月1日の放送に渡辺貞夫がゲスト出演した。渡辺は2月1日で90歳になった。音楽活動は70年以上に及ぶ。現在も第一線で活躍するミュージシャンとして精力的にライブ活動を行っている。

長いキャリアについて渡辺は「ぼくの中では、好きなことをずっと続けてやって来られているということで、特別な感慨はない」とのとこ。そして「これまでの音楽生活で特に刺激を受けたこと」について「最初はブラジル音楽。1968年にブラジルに行ったときに、別世界の音楽を聴いたという感じがあった」

「それから、72年にアフリカ・ケニアに行った。風土というか、人々が自然に生きている世界に感動した。それまでは、合理的なものを求めて生きてきたようなところがあったので、自然体で生きることを教わった気がした。そのあと、ヨーロッパに対する興味を失って、ヨーロッパツアーの仕事が減った」と話した。

さらに「（ブラジル、アフリカの音楽に触れて）音楽的な変化はなかったが、リズミックな影響は受けた。プリミティブな音にも歌にも魅かれた。音楽人生の中で、大きなインパクトがあったと思う」と続けたが、12歳で終戦を迎えた渡辺は、終戦とともに進駐軍の放送から流れてきた音楽を「学校から飛んで帰って、ラジオにかじりついて聴いた」そうだ。

次に「そもそも、サックスを始めるきっけは？」と訊かれると「最初は（サックス）ではなくクラリネットだった。映画『ブルースの誕生』の中のクラリネットを吹く少年に憧れて、親父にねだって、ひつこく迫って、3,000円の中古のクラリネットを買ってもらった。吹き方も何もわからなかったが、小学校の向かいの駄菓子屋の主人が、映画の中に出てきたクラリネットを見たとかで、その主人に1日10円で3日間、教わって、あとは自己流」と、楽器との出会いは、最初はクラリネットだったことを明かした。

サックスとの出会いは、これも映画の中。当時は音楽映画が数多く入ってきていた。渡辺は「『銀盤の女王』という映画の中でビッグバンドが登場し、そのサックスの音に憧れた」という。そして「（宇都宮から）東京に出てきて、親父に24,000円のサックスを買ってもらい、そこから始まった」と答えた。

また、最近の日本の音楽シーンについては「まいったなあという感じ。（自分とは）別世界」と言う渡辺だが「心の琴線に触れる。これがいいなあ」という音楽について訊かれると「その人のメッセージや思いがストレートに伝わってきたとき。テクニックで驚かされても感動はない。下手でもいい。精一杯歌っている。メッセージを伝えようと努力していることに感動する。それはジャズの原点でもある。当たり前、自然なこと」と話した。

「自分の歌をメッセージとして伝えるために、今も毎日、音を磨いている」渡辺貞夫。東海地方でのライブは、3月7日（火）三重県名張市のadsホール。3月9日（木）名古屋市の、しらかわホールで行われる。内容について渡辺は「去年、ブラジリアンテイストの曲をまとめてコンサートをやった。ジャズ的なアプローチでチャレンジするのではなく、歌を楽しむようなイベント。それが非常に楽しかった。ミュージシャンたちも楽しんでくれた。それを『もう1回やってもいいね』ということになった。ぼくの歌とブラジリアンのいい曲をセレクトする」

翌2月1日の放送は、渡辺の90歳の誕生日にあたった。まず「普段の生活の中で心がけていること」を訊かれ「寝起きと午後、1時間の散歩をする。3か所ある公園で、スクワットなど軽い運動をする。その程度」とのことだが「（ボクシングの）井上尚弥のトレーニングを見ていると『おれは、甘ちょろいことをやっているなあと思う』と笑わせた。

2月1日の放送では、コンサートのメンバーセレクトについて、クラシックのコンサートホールについて、レコーディングについて、さらに、今後の方向性や豊富について語った。「いい音で演奏したい。自分の音を磨いていきたい。以前作った思い入れのある曲に再びスポットを当てたい。今のコンセプトで紹介したい」と話し、ライブについては「みなさんに喜んで帰ってもらえたらうれしい」と語った。

東海ラジオ『urban jazz night with diskunion（アーバン ジャズ ナイト ウィズ ディスクユニオン 火～金 21:00～21:40）は、日本を代表するレコードストア・ディスクユニオンの監修で、ストアスタッフ推薦の名盤や、現行シーンで活躍するアーティストの新譜などを紹介している。DJは村上和宏（東海ラジオアナウンサー）。

※放送情報は変更となる場合があります。