よゐこ有野、高校生が学んでいる“収入を増やす方法”に驚き「アホほど買っててよかったんや」

お笑い芸人・よゐこの有野晋哉さんが、毎月さまざまな専門家をゲストに迎えて、お金の知識を身に付けていく「お金の知りたいを解決!お金の学園〜学級委員・よゐこ有野晋哉〜」。2023年2月は金融教育家の塚本俊太郎先生に、投資の基礎知識について、タレントで元「アイドリング!!!」14号の酒井瞳さんと一緒に学びます。


有野晋哉(以下、有野):2月になったら、一気に寒くなったなぁ。

酒井瞳(以下、酒井):ほんと、寒いですよね~。有野さん、先月の授業で習ったNISAやiDeCo、もう始めました?

有野:始めたで! 山中先生は制度のことをすごくわかりやすく説明してくれたやん。社会貢献の意味もあるなぁって思って。でも、始めてみて思ってんけど、もう少し投資について聞きたかったな。投資のプロがどんな顔してるのかとか。ツーブロックのヘアスタイルやったら信用ならんで。

酒井:ツーブロックでも信用できますよ(笑) でも、どうやら今月の先生は、その投資そのものについて教えてくれるみたいですよ!

有野:おぉ~、ええやん。でも、ツーブロックやったら帰ってもらえるかな。

酒井:ツーブロック、ツーブロック言い過ぎです(笑)

塚本俊太郎(以下、塚本):こんにちは、塚本です。有野さん、酒井さん、よろしくお願いします。

有野酒井:先生、よろしくお願いします!

塚本:今月は、お金のこととか投資について学んでいきたいと思います。

酒井:はい、先生! 先生はどういうご経歴の方なんですか?

有野:いきなり失礼やなぁ。まずは身長とスリーサイズから聞いていかんと。

酒井:グラビアアイドルじゃないんですから(笑) 塚本先生、気にせず経歴をお願いします。

塚本:アメリカの大学院を卒業後、20年間、外資系の信託銀行や資産運用会社に勤めた後、金融庁で一般の方々の金融教育を担当していました。高校で金融教育が拡充された、なんてニュースを聞いたことがないですか?

酒井:え、学校でお金の授業があるんですか!?

有野:じゃあ、有野家の娘たちも高校生になったら授業を受けるんや。

塚本:2022年4月から金融教育が必修となって、その授業で使われる教材作成などにも携わってきました。いまはフリーランスで「金融教育家」として、小学生から社会人まで、金融リテラシーを高める活動をしています。

有野:リテラシーって知識や活用する能力みたいな意味でしょ。高校生の金融に対する能力を高める活動をしてるって、投資のプロみたいですね。

酒井:みたいって、有野さんも失礼ですよ!(笑) 歴とした金融教育家の先生です!

スタートラインはみな一緒。お金と投資について学ぼう

塚本:ということで、今回は私が作成に携わった、金融庁が公開している高校生向けの指導教材を使ってお話していきたいと思います。

有野:え~、先生、僕たちお金と欲望が渦巻く芸能界に揉まれてきたので、ドロっとした社会人向けがいいです!

酒井:ちょっと、芸能界のイメージが悪くなるようなこと言わないでくださいよ(笑)

塚本:お金のことって、これまで学んでいない方が多いので、高校生用でも十分、学べるんですよ。誰でもスタートラインは一緒ですからね。

有野:なるほど。確かにお金のことって人には聞けない雰囲気あるもんな。自分の単価とか聞きにくいし、聞いてスタッフから「え、有野さんは面白さより、金の方がいいんですか」って思われたらどうしよう……って、別にそう思われてもええのに、やっぱりアカン気がしちゃう。親兄弟の年収も聞いたことないし、これって昭和の感覚なのかもしれへんけど。

酒井:わたしも子どものころ、なんとなくお金のことってお父さんとかお母さんに聞きづらかった記憶がありますね。

塚本:日本では、子どもにお金の心配をさせたくないという考えがあるので、そういう雰囲気の家庭が多いのでしょう。でも、これからは家庭でもどんどんお金の話をしてもらいたいですね。ただ、実は大人もお金や投資のことをよくわかっていない方が多いので、子どもとどういう話をすればいいのかわからないのだと思います。今回の資料も、高校生たちだけでなく、その両親にも学んでもらおうという意図で作ったものです。

有野:自分で働いて稼ぐようになって、何にどれくらいお金を使えるっていう感覚は身についてきたけど、子どもが出来たら出費がとにかく多くて、働いて稼ぐってしか考えてこなかったから、お金を増やすってことについては学ばへんもんなー。教わる場所もないし。

塚本:令和以降は、いかに自分の資産を守り、増やしていくかがすごく大事になってきます。いかに資産を上手に運用していくか。これを学び、意識していく必要があるんですね。なぜだかわかりますか?

酒井:えっと、老後に受け取る年金の額が減ったり、受け取れる年齢が遅くなったりする可能性があるから……ですよね?

有野:おっ、さっそく先月の授業で勉強したことを披露してるやん。

酒井:当然です! 有野さんと違って、ふざけずにちゃんと授業を聞いていましたからね。

有野:また失礼なこというなぁ(笑) 僕だってちゃんと聞いていました! 酒井瞳は個人事業主かどうかもわかっていない、ですよね。

酒井:そこは覚えなくて良いところです!(笑)

塚本:酒井さんのおっしゃったこと、半分は正解です。もう1つ、日本では1990年の不動産バブル崩壊後、長くデフレの時代が続いてきましたが、今後はインフレの時代が到来する可能性が高いからです。デフレとインフレってなにかわかりますか?

有野:そういえば、ニュースでもデフレデフレってよく聞きましたね。デフレ宣言されると安く牛丼が食べられるんですよね。

酒井:もう、またふざけてる!

塚本:いえいえ、有野さん、だいたい合っていますよ。

有野酒井:えぇ!?

有野:……ほらほら、学級委員を舐めるんじゃありません!

酒井:自分だって驚いてたクセに(笑)

有野:先生、どう言うことですか?

酒井:結局、先生に聞いちゃってるし……。

塚本:デフレは、モノやサービスの価格が下がることで、相対的に貨幣の価値が上がることです。需要が減り、モノが売れなくなることで、価格が下がる。価格が下がることで企業の儲けが減り、賃金が下がる。賃金が下がると人がモノを買わなくなるので、需要が減る…という「負の連鎖」が起きるわけですが、これを「デフレスパイラル」と言います。日本はバブル崩壊から30年以上たってもなかなか物価が上がらず、デフレの負の遺産に苦しんできました。

有野:でも先生、いま逆に牛丼の値段がすごい上がっていますよ。これがインフレですか?

酒井:そうそう、プロテインもかなり上がってて……トリ胸肉なんかも高くなっていますよ。

有野:そういえば、酒井ちゃんはトレーニングが大好きやもんね。普段から高タンパク低脂質のインフレトレーニングですか?

酒井:なんですか、インフレトレーニングって

有野:筋トレの合間合間にインフレ入れるんでしょ?

酒井:筋トレの合間に入れる休憩はインターバルです、全然違います! でも、インフレは起こってるってことですよね、先生。

塚本:お2人がおっしゃる通りです。いま、コロナ禍で物流が滞ったり、ロシアによるウクライナの侵攻や天候不順が起きたりしたことで、原油や天然ガスエネルギー価格が急騰し、それによって世界的なインフレの時代に突入しているんです。いまは経済がグローバルでつながっているので、日本もその例に漏れず、インフレが巻き起ころうとしています。

自己投資で「稼ぐ力」を磨く

有野:最近は少し落ち着いてきましたが、ガソリン価格もめちゃくちゃ上がりましたね。ニュースで流れるたびにガソリンスタンドで渋滞が起こるから、僕は怖くて、半分減ったら満タンにするようになりました。これもインフレで物の価値が上がってるって事ですか?

塚本:モノやサービスの値段が下がるデフレに対して、インフレはその逆。モノの値段が上がっていく状態を指します。そうなると、お金の価値はどうなりますか?

酒井:デフレではお金の価値は上がったから……インフレでは下がる?

有野:そんな単純な話やないやろ。ゲームセンターで100円で3機遊べてたゲームが駄菓子屋に行ったら50円で3機遊べます、それが広まったらみんな駄菓子屋に行き出して、ゲームセンターに行く人が減るから、ゲームセンターも値段を下げる……この状態がデフレ。みんながお金を持ち出したら200円で3機でもお客さんが入る、これがインフレ。でも、魔界村で言うと、1回敵に当たっても鎧がなくなるだけで死にはしないから、6回遊べるって考えても結構です、分かった?

酒井:全く分かりません(笑)

塚本:酒井さん、正解です。

有野:え、ツッコミがですか?

塚本:違います(笑) さっきおっしゃったインフレ下では、お金の価値が下がるので、そのまま貯蓄しているだけではどんどん価値が目減りしてしまいます。だからこそ、「自分のお金を守る、増やす」資産運用が必要なんですね。

塚本:ただし、資産運用するには、その元手も必要になるので、自分の収入を増やすための「自己投資」も大事になってきます。

有野:なるほど、自分への投資か。土地やクルマを買って、その価値が上がるまで置いておくだけが資産運用ではないって事ですね。そう言われてみると、僕は20代の頃、周りからは「せっかく稼いだお金をそんなのに使ってどうするんだ」って言われながらも、ゲームとか漫画、フィギュアをアホほど買っておいてよかったって事かなぁ、それも自己投資の1つになるんかな。

酒井:そうですよ。だって、それで番組とかできて仕事になっているじゃないですか。私も、身体のことを勉強したり、鍛えたりすることでアイドル専用のジムをやれているので、一応仕事につながっているのかな?

塚本:お2人とも素晴らしいですね。生活もありますし、稼いだお金のすべてを投資に回すわけにはいきません。投資の元手を増やすためには、稼ぐお金を増やす必要があります。

有野:稼ぐお金を増やす必要ねぇ……よっしゃ、松竹芸能にギャラ上げてもらわないと! 酒井ちゃん、一緒に交渉しよ。

酒井:ギャラが上がれば嬉しいですけど、先生が言いたいこととズレてますね(笑)

塚本:ズレてますね(笑) 私がお伝えしたかったのは、「稼ぐ力」も大切で、それを磨くためには自己投資が必要ということです。実際、語学を学んだり、ITスキルを身につけたり、自己投資にお金を割く方が増えています。

有野:じゃあ稼げる手段を増やすために、まだまだ自己投資もやっていかなあかんな。一眼レフカメラ出して撮影しよう!

酒井:さすが学級委員長、貪欲ですね(笑) 何を撮影するんですか?

有野:お金と欲望が渦巻く芸能界、いつ何があるかわからんからね。ってことで、酒井ちゃんがやってるアイドル専用ジムに通わせてくれへん? そこに来てるアイドルを撮影させて欲しいねんけど。

酒井:「アイドル専用」って言ってるじゃないですか!

有野:昔はアイドル誌「ポポロ」にも載せてもろてたくらい、アイドル並みの人気芸人やってんけど。

酒井:へぇ〜、よゐこさんだけが人気あったんですか?

有野:当時の芸人は、ほとんどがキャーキャー言われて人気あったね。今ほど芸人もいなかったし、歌って踊れるアイドルの方には行けない人らがやって来てた、って感じ。会場に来たら写真撮れるし、愛想もいいし、チケットも安かったしな。

酒井:……有野さん、それって人気にデフレ起こってますよね?

有野:誰がデフレ芸人やねん!

次回(2月14日配信予定)は「投資と投機」について聞いていきます。

有野晋哉
1972年2月25日生まれ。大阪府出身。テレビやラジオ、CM、雑誌の連載などマルチに活躍。コンビで公式YouTube「よゐこチャンネル」も開設しており、幅広い世代から支持を得ている。自身が50歳を迎えた2022年に、お金にまつわる知識の大切さに目覚め、日々勉強中。

酒井瞳
1989年5月3日生まれ。宮崎県出身。2008年4月に女性アイドルグループ「アイドリング!!!」に14号として加入し、2015年10月に卒業。その後は地元・宮崎県に関わる活動や、テレビやドラマ、YouTubeなど活動の幅を広げている。2022年2月よりジムでパーソナルトレーナーを開始。また、同年に故郷の宮崎県延岡観光大使に就任。 アイドル専用ジム「iウェルネス」ではトレーナーとしても活動している。

塚本俊太郎
金融教育家、日本CFA協会執行理事。1994年、慶應義塾大学総合政策学部卒、97年に米国シラキュース大学大学院国際関係論修士。同年、UBS信託銀行に入行し、債券運用部ファンドマネジャーを務める。02年以降、メリルリンチ・インベストメント・マネジャーズ(現ブラックロック・ジャパン)、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントなど外資系運用会社にてストラテジストや投資戦略部長などを歴任。20年、金融庁に入庁し、金融教育担当として高校・大学・社会人向けに授業を行う。高校家庭科での金融経済教育指導教材や、小学生向け「うんこお金ドリル」の作成を担当。現在はフリーランスの金融教育家として金融リテラシーや資産形成について発信・寄稿・講演を行う。また、金融教育プログラム構築に関するコンサルティングも実施している。

ライター:新井奈央 / 写真:文化工房

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