選択的夫婦別姓で「危機突破」 小泉元環境相が岸田首相に迫る 菅前首相も〝火消し〟で協調か 

左から、小泉進次郎元環境相、岸田文雄首相、菅義偉前首相(資料写真)

 自民党の小泉進次郎元環境相(衆院11区)が選択的夫婦別姓の実現を岸田文雄首相に迫っている。「総理や自民党が国民に持たれた『ジェンダー政策へ後ろ向き』との印象を一掃できる」からだ。夫婦別姓導入に前向きな菅義偉前首相(2区)も岸田首相と会談。「(同性婚を認めれば)社会が変わる」との国会答弁の火消しについてアドバイスを行った可能性もある。「菅ー小泉の神奈川ラインが危機突破に乗り出した」(自民ベテラン議員)との見方が党内外に広がる。

 「国民の多様な価値観、生き方を後押しする政党に変わらないといけない。多様性を巡る象徴的なテーマである選択的夫婦別姓を認める決断をすれば自民党は道が開ける」。小泉氏は神奈川新聞社のインタビューで「(同性婚者は)見るのも嫌だ」とした前首相秘書官の発言を「多様な価値観、生き方を否定する」と批判した上で「自民党が踏み込めなかった異次元の施策案」として選択的夫婦別姓の導入を首相に促した。自身のインスタグラムでも主張を展開。神奈川新聞の記事は検索サイト「Yahoo」内でトピックスに上がりさらにアクセスが集中、コメントが3千超付いた。

 岸田首相と菅前首相との会談は6日、小泉氏の発信と同時間帯に菅氏の議員会館事務所で約30分にわたり行われた。官邸スタッフによると首相は会談後、記者団に「さまざまな政治課題や動きについて近況報告をし、アドバイスもいただいた」と答えたという。

 両者の会談は昨年11月28日以来だ。この時は浜田靖一防衛相と鈴木俊一財務相へ防衛費財源確保を指示すことに先立ち面会。岸田首相は周囲に「確保方針については前総理に報告済み」と説明したという。重要施策を打ち出す前に菅氏との対面を構えた前例から、野党の集中砲火が必至の衆院予算委員会を8日に控えていることも踏まえ「総理は予算委での踏み込んだ発信を考えているのではないか」(自民幹部)との観測が広がっている。

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