広島被爆2世の請求棄却 国賠訴訟地裁判決 長崎の原告「悔しくてたまらない」

 広島の被爆者を親に持つ「被爆2世」が、放射線の遺伝的影響による健康被害の可能性が否定できないのに国が援護を怠ったのは憲法違反だとして、広島県などに住む2世の28人が国に1人10万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、広島地裁は7日、2世の請求を棄却した。
 広島で判決を見届けた長崎訴訟の原告らからも失望の声が上がった。
 長崎・広島集団訴訟全体の原告団長、崎山昇さん(64)=長崎市=は「広島は長崎より良い判決が出るのではという期待があった」と話す。だが、長崎地裁判決より後退したとも受け止められる内容だったことに「悔しくてたまらない」と失望をあらわにした。
 長崎訴訟の原告団は既に控訴。「一審が否定しきれなかった遺伝的影響の可能性を一歩として、全ての2世の援護につながるよう頑張ろうと決意を新たにした」と語った。
 長崎訴訟の原告の一人、平野伸人さん(76)=同=は残念がりながらも、「訴訟は2世に関する問題提起として大きな意味があった」と評価。国会への働きかけなどの可能性も示した上で「この裁判をてこに、次の一手を考えていきたい」と先を見据えた。


© 株式会社長崎新聞社