<ジモトピア>月刊連載?!住職こん身の黒板アート お散歩が楽しくなるこだわりの靴下屋や隠れ家カフェも

昨年11月から住職になった良海さんが約1時間かけて書く黒板。「当初は気まぐれで書き始めたが、今では近隣者が喜んでくれるので張り合いになっている」=埼玉県さいたま市浦和区東岸町の円蔵寺

 JR浦和駅東口を右に進み線路沿いをしばらく歩くと、大きな紅梅と黒板に目が留まる。人気漫画のキャラクターとセリフ、そして心に響く励ましの言葉がチョークで書かれている。「この未曽有の時代、道行く人が笑顔になってほしい」。円蔵寺住職の加藤良海(りょうかい)さん(36)の願いが込められている。

 黒板には3年前まで、各種行事の案内を書いていた。コロナ禍で中止が相次ぎ、当時、副住職だった良海さんが月初めに描くようになったという。「これまでサザエさんやアンパンマン、ルパン三世、ワンピースと、老若男女の楽しめる題材を描いてきたが、おかげで寺に興味を持って立ち寄る方が増えている」。本堂では祈祷(きとう)や法話と併せてヨガや落語も開催。自ら描く絵入りの御朱印も人気になっている。

 線路をくぐり中山道方面に進むと、調(つき)公園と調神社がある。「つきのみや」と地元で呼ばれる調神社は、鳥居がなく、こま犬の代わりにこま兎(うさぎ)が置かれている。手水舎、拝殿の彫刻、絵馬、神池の噴水にも兎がたたずむ。

 中山道から浦和駅方面の細い路地に入ると、靴下屋「さきっちょ」がある。小さな店舗内には所狭しとカラフルな靴下が飾られている。「歩く暮らしを豊かにする」をコンセプトに靴下や生活雑貨を扱う。北海道出身の店主越野陽子さん(53)の目利きで集めた逸品のほか、介護現場から生まれた片手でスルッと履ける靴下や、ヨガなどで履く滑り止め付きの指なし靴下など実用的なものもそろう。

 城のような外塀と門がシンボルで、市内最古の高砂小学校や再開発事業が真っ最中の駅前を通り過ぎると、外壁のツタが目印の「cafe uwaito」がある。首都圏で移動カフェを営んできた店主が10年前にオープン。「ミシンの上下の糸がうまく合って縫い目が整うように、下糸がお客さん、上糸が店」という思いを込めて、ローマ字でuwaitoと名付けた。古いミシン台がテーブル席になったり、アンティークな家具が目を引く。店内の雰囲気も温かく散歩の帰りにひと休みするのにちょうどいい。

 【メモ】円蔵寺(電話048.882.2835)。さきっちょ(電話048.789.7640)、営業は金~日曜(月~水は予約制)、午前11時~午後6時。cafe uwaito(電話048.711.5870)、午前11時~午後6時、木曜休み。

オリジナル商品を説明する共同パートナーの鈴木康裕さん=靴下屋「さきっちょ」
季節の果物をのせた特製プリンといちご紅茶。深谷産卵などを使ったこだわりの品が勢ぞろい=cafe uwaito

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