DigitalBlast、ISSでの細胞実験に特化した「AMAZ Alpha」開発に着手

「AMAZ Alpha」開発の背景

近年、NASAによるアルテミス計画をはじめとした有人宇宙探査が盛り上がりを見せており、宇宙環境での食の確保や植物栽培に対する課題意識が高まっている。ISS等の微小重力環境が植物の育成に大きな影響を及ぼすことが明らかになっている一方、月や火星といった低重力環境の植物育成への影響はまだ十分に把握できていない。

DigitalBlastはこの状況を踏まえ、月面での生態循環維持システム構築に向けたプロジェクト「NOAH」を立ち上げ、プロジェクト第一歩として、多様な重力環境下での栽培・培養を通して、生物の重力応答に関する基礎データを取得する小型ライフサイエンス実験装置「AMAZ(アマツ)」を開発。2024年のISSへの設置・運用を目指している。

そして、植物栽培に加え、宇宙環境が細胞に及ぼす影響も把握する必要があるため、同プロジェクトの新たな取り組みとして、微小重力環境での細胞培養実験に特化した小型ライフサイエンス実験装置「AMAZ Alpha」を開発することとなった。

「AMAZ Alpha」について

AMAZ Alphaは、AMAZ同様、月面と同じ地球の6分の1の重力の他、回転速度を変更して多様な重力下での培養を通して、細胞の重力応答などの基礎データを取得できる。

これまでの細胞培養の宇宙実験では、培地の交換など宇宙飛行士による操作や作業が発生していた。しかし、本装置では培地や試薬の自動送液機能を搭載し、宇宙飛行士の作業工数が削減できるという。また、蛍光観察装置を内蔵予定で、実験環境下のまま細胞の変化を観察することができ、装置内で実験を完結できる。

本装置は2025年ごろのISSへの打上げを目指し、研究・開発を進めている。

今後の「NOAH」の展開について

「NOAH」プロジェクトでは、AMAZやAMAZ Alpha、高等植物の栽培実験を目的とした「TAMAKI(タマキ)」に加え、さまざまな実験装置を拡充していく。

AMAZやAMAZ Alphaを収納して精密な温度管理環境下での実験を可能とする可搬型インキュベータを開発予定であるほか、iPS細胞などを用いた立体培養実験用装置「AMAZ Omega(アマツ・オメガ)」を構想しているという。

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