大学進学の備えは子ども1人300万円以上! 学習塾や習い事にかける平均額は?

子どもの学習塾や習い事に、世間の親はどのくらいお金をかけているのか、気になりませんか?

教育費は、気を抜くと青天井になりがちです。子どもの習い事にかける金額に正解はありませんが、子どもが小さな時期から親が意識をしておけば、ブレーキをかけることができます。

そこで、学習塾や習い事にかける平均金額を知っておき、各家庭で「いくらまで出す?」を決めるときの判断材料のひとつにしましょう。


家計をみながら学習塾や習い事にかけるお金を決めよう

学力や教養を身につけたいとき、学習塾や習い事は心強い味方になるでしょう。しかし、普段の支出がふくらみすぎて高校受験や大学受験などの大きなイベントでお金が不足する事態は避けたいものです。

特に大学進学にはまとまった教育資金が必要になります。筆者に家計相談をしている方には、大学受験と大学進学に備えて、子ども1人につき300万円~500万円以上貯めることをおすすめしています。

「子どものために!」と思えばこそ、今使う教育費と将来使う教育費のバランスをうまく取ることが大切なのです。

・幼稚園から高校までの教育費は大体月3万円~4万円が平均的
文部科学省「子供の学習費調査(令和3年度)」をみると、幼稚園から高校卒業までの15年間でかかる教育費(=学習費総額)は、子ども1人あたり約600万円~約1,800万円が平均とわかります(表1参照)。

すべて私立のケースを除くと、1年あたりの負担は40万円~50万円前後です。大体、月3万円~4万円とイメージしておくと良いでしょう。

<表1:幼稚園から高校卒業まで(15年間)の平均的な学習費・学校外活動費の総額>

・学習塾や習い事などで総額300万円~400万円!?
教育費の平均金額の内訳を見ると、約半分が、学習塾や習い事などの「学校外活動費」であることが分かります。学校外活動費とは、学習塾費、通信教育・家庭教師費、スポーツ技術・音楽・舞踊・絵画・習字・そろばん・外国語会話などを習うために支出した経費などを指します。

例えば、すべて公立のケースの学習費総額は約574万円ですが、その内学校外活動費が約347万円です。つまり、平均的な教育費の半分以上は、親が自ら出すと決めて出しているお金なのです。

親が学習塾や習い事などにかけている平均金額は、公立中心に進学しても、15年間で総額300万円~400万円にもなっています。各家庭の判断次第で、教育費の負担は大きく変わるということです。

学習塾や習い事の必要性は、子どもの年齢によっても変わってきます。幼稚園・小学校・中学校・高校の時期別に、いくらお金をかけるのが平均的なのかを知り、家計に合った教育費のかけ方を考えてみてください。

幼稚園は月0.8万円~1.2万円前後が平均

幼稚園の学校外活動費は、年間約9万円~14万円(月約0.8万円~1.2万円)が平均です(表2参照)。

<表2 幼稚園の学校外活動費(年間)>

学校外活動費は、主に学習塾や通信教育、家庭教師費などの学習を補助するために使う「補助学習費」と、心とからだの健全な発達を目的とした習い事などのスポーツや文化活動のために使う「その他の学校外活動費」があります。

幼稚園の時期は、補助学習費が占める割合は少なく、習い事などにお金をかける家庭が多いことが分かります。幼児が習い事を始めるかどうかは、まさに親次第です。民間の習い事を2~3個始めたら、あっという間に平均金額を超えるでしょう。自治体が運営している習い事を活用したり、親が直接子どもに教えたりするなどして、費用をおさえながら子どもの興味・関心を広げていくのがおすすめです。

小学校は月約2.1万円~5.5万円前後が平均

小学校の学校外活動費は、年間約25万円~66万円(月約2.1万円~5.5万円)が平均です(表3参照)。

公立と私立で差が激しく、幼稚園の時期に比べて補助学習費の金額が大きいのが特徴です。公立小学校の場合、学習塾などに月1万円・習い事などに月1万円で合計月2万円ほどかけるのが平均となっています。

<表3 小学校の学校外活動費(年間)>

なお、中学受験をすると教育費が高額になりやすいので注意が必要です。中学受験をする場合、小学4年生から6年生の時期に学習塾などに月5万円~10万円以上かかることが珍しくありません。「高い!」と感じる家庭が多いと思いますが、もし私立中学校に進学すると、学費や通学費などで、受験期に負けないくらいお金がかかると想定しておくのが無難です。私立中学を受験するなら、家計から無理なく中学受験用の塾代が出せているかどうかをひとつの判断基準にすると良いでしょう。

中学校は月約3.1万円前後が平均

中学校の学校外活動費は、公立・私立共に年間約38万円(月約3.1万円)が平均です(表4参照)。

<表4 中学校の学校外活動費(年間)>

内訳を見ると、公立を中心に補助学習費が高くなっています。高校受験に備えて勉強のためにお金を使う家庭が多いことが想像できますね。単純に平均すると月3万円前後ですが、実際には中学3年生の受験期に支出が集中します。中学3年生になる前に、受験に備えてお金を用意しておくと安心です。

高校は月約1.7万円~2.5万円前後が平均

高校の学校外活動費は、年間約20万円~30万円(月約1.7万円~2.5万円)が平均です(表5参照)。

<表5 高校の学校外活動費(年間)>

中学時代よりも教育費の負担が減るように見えますが、実際は必ずしもそうならない点に注意が必要です。なぜなら、大学受験のために学習に力を入れる家庭とそうでない家庭では、必要な学習塾代が大きく変わると予想できるからです。

文部科学省の「学校基本調査(令和4年度)」 によると、大学(学部)・短期大学の進学率は60.4%です。大学への進学割合は年々あがっているため、子どもが希望する進路が予想できないうちは、大学受験を想定して平均よりも学習塾代などを多めに準備しておくのがおすすめです。

家計全体を見直して習い事代をひねり出すのもアリ

「子どものために学習塾や習い事は削りたくない!」という想いを持つ人もいるでしょう。そのときは、家計全体で収支のバランスを取れれば問題ありません。

家計の収支を改善する方法は、大きく分けると「支出を減らす」「収入を増やす」「資産運用して増やす」の3つがあります。教育費以外の支出を減らすのも良いですし、転職やキャリアアップで収入を増やしたり、長期間かけて資産運用でお金を増やしたりするよう試みる手もあります。

筆者にも小学生の子どもがいるので、学習塾や習い事にかけるお金のことではよく悩みます。「子ども自身のためになれば」という想いが一番ですが、同時に、親が子育てを楽しんだり、不安や手間を減らしたりするためにも役立っていると感じます。

自分達が思い切り子育てを楽しむためにも、各家庭の教育方針や家計状況に合わせて、学習塾や習い事にかけるお金を決めていってください。

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