「がん疑い」見落とし2人死亡 「医療過誤」と謝罪 滋賀・高島市民病院

CT(コンピューター断層撮影)画像診断報告書の見落としの医療過誤を謝罪する高島市民病院の武田院長(中央)ら=8日午後3時、高島市勝野

 高島市民病院(滋賀県高島市勝野)は8日、市内在住の患者3人について、CT(コンピューター断層撮影)検査の画像診断報告書に「がんの疑い」と記されていたにもかかわらず、主治医が見落としていたと発表した。うち70代男性と80代男性の2人が死亡した。同病院は見落としを医療過誤と認め、謝罪した。見落としと死亡の因果関係は「分からない」としている。

 同病院の説明では、70代男性は、2019年3月に腹痛で同病院の救急外来を受診した際にCT検査を受け、放射線科医は報告書に「胃がんの疑い」と記した。80代男性は、同年1月に腹痛で救急外来を受診した際のCT検査の報告書に、「肺がんの疑い」と記載されていた。

 しかし、2人の主治医はいずれもがんの疑いに関する記載を見落とした。2人が同病院で再度CT検査を受けた際に別の医師が見落としに気づいた。その後2人とも転院し、70代男性は20年7月に、80代男性は同年6月に亡くなった。ともに死因はがんだったという。

 市は、80代男性の遺族と損害賠償を支払う内容で協議を終え、市議会3月定例会に提案する一般会計補正予算案に賠償金を計上する。70代男性の遺族とは現在協議中。

 70代男性への見落とし発覚後に同病院が行った調査で、90代の女性患者についても、「両側乳がんの疑い」と記載された画像診断報告書を主治医が見落としていたことが分かった。

 同病院は再発防止策として、研修の実施▽報告書の内容確認の徹底▽緊急性や重要性が高い所見は放射線科医が担当医師へ直接連絡-に既に取り組んでいるとする。

 8日に記者会見した武田佳久院長は「患者と家族に心より深くおわび申し上げる。市民の信頼を損ねたことについても重ねておわびする」と頭を下げた。

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