神奈川県予算案 コロナ対策費減少も一般会計は過去2番目規模

県の予算案を発表する黒岩知事=8日午後、県庁

 神奈川県は8日、2023年度当初予算案を発表した。春に知事選を控え、義務的経費や県民生活に直結する施策を中心とした「骨格予算」として編成した。

 一般会計は出口戦略が明確になった新型コロナウイルス対策費の縮減を主因に、前年度比3.5%減の2兆2616億円で5年ぶりに減少したが、過去最大だった前年度に次ぐ規模となった。堅調な税収を背景に、県債の新規発行を抑制して財政健全化に努める。予算案は13日開会の県議会第1回定例会に提出する。

 一般、特別、企業会計の総額は4兆6815億円で6年連続で過去最大を更新した。黒岩祐治知事は会見で「骨格予算として編成したが、持続可能な神奈川の礎となる予算になったと思う」と述べた。

 知事選後に新知事が政策的経費を盛り込む「肉付け予算」への対応で、法人事業税の収入見込み額のうち50億円の計上を留保した。

 一般会計歳入の約6割を占める県税は6.6%増の1兆3325億円を計上。当初予算額ベースでは過去最大となった。企業収益の改善で法人2税(県民税、事業税)が8.9%増、物価上昇の影響で地方消費税も10.8%増を見込む。

 これにより、借金に当たる県債の新規発行額は441億円減の1278億円に抑制。うち臨時財政対策債は制度開始以降で2番目に少ない500億円となった。それでも23年度末の県債残高は3兆664億円の見込みで、県が掲げた23年度までに2兆円台にするとの目標達成は困難な情勢だ。

 歳出ではコロナ対策で2099億円を計上。ワクチン接種の推進や医療提供体制の維持などに充てる。政府が5月に感染症法上の位置付けを「5類」に引き下げることを踏まえ、22年度上半期の平均的な感染状況を前提に積算し、前年度に比べ1千億円余りの減額となった。

 小児医療費(通院費)の助成対象を現行の6歳までから12歳までに拡大するほか、スクールカウンセラーの配置を充実するなど、子ども施策に注力する。30年度の温室効果ガス排出量の削減目標を従来の13年度比46%減から50%減に上方修正。脱炭素への取り組みを強化する。

 4月に「県当事者目線の障害福祉推進条例」の施行を控え、障害者の地域生活移行や意思決定支援など、条例の実効性を確保する新規事業に1億5千万円を計上。23年度中に県立と民間施設で約60人の地域生活移行につなげたい考えだ。

 歳出に占める義務的経費の割合は72.9%で1.1ポイント上昇した。増大が続く介護・医療・児童関係費は3.3%増の4465億円となった。

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