川崎市、気管支ぜんそく患者の医療費助成制度廃止 アレルギー対策見直しで他疾患との公平性考慮

川崎市役所

 川崎市は8日、気管支ぜんそく患者を対象とする医療費助成制度を廃止する方針を固めた。アレルギー疾患に関して、患者の増加や疾患の多様化を背景に、診療連携体制や発症予防に向けた取り組みの強化を図るアレルギー疾患対策推進方針案を策定。それに基づいた措置で、他のアレルギー疾患との公平性を考慮したという。患者の費用負担は増えるが、市の担当者は「発症や重症化予防に向けた支援を充実させ、丁寧にフォローしていきたい」と理解を求めている。

 国は2015年、アレルギー疾患対策基本法を施行。気管支ぜんそくのほか、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーなど6疾患を対象とし、各自治体に地域の実情に応じた対策を講じるよう求めている。

 市はこれを受け、昨年11月の市地域医療審議会の答申を踏まえて方針案を策定。どこでも標準的な専門医療が受けられるようにするため、診療所などでの治療の普及促進や、かかりつけ医と病院との連携強化に取り組むほか、発症予防の啓発活動や相談支援を充実させる計画だ。患者が正しい知識に基づいて、適切な医療を受けられるようにする狙いがある。

 一方で、20歳未満の子どもを対象にした「小児ぜん息患者医療費支給制度」と、20歳以上の大人を対象とした「成人ぜん息患者医療費助成制度」を24年3月末に廃止し、新規受け付けを停止する。ただ、以降2年間は経過措置として助成を継続する。

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