ニワトリが一日に産む卵の数、知ってますか? 10個入りパックから知るありがたみ

動物園の職員が自宅で飼っているニワトリ

 鳥を定義づける一つの基準に、卵を産んで増えるか否かがあります。「卵を産む」。これが鳥であることの大前提です。

 そして、その卵は私たちの食にも大きく関わっています。ゆで卵や目玉焼きに加え、ケーキやマヨネーズ、その他の料理の材料としても幅広く使われています。医薬品にも活用され、殻は肥料になっています。多くの人が直接的、間接的に卵から何らかの恩恵を受けているのではないでしょうか。

 私は職場体験や実習に来る学生さんに「ニワトリって、1日にどのくらいの数の卵を産むと思う」と尋ねます。すると、多くの学生さんは「3、4個ですか」とか「10個くらいだと思います」などという答えを返してきます。

 実はどんなに優秀なニワトリでも1日に1個だけしか卵を産むことができません。ですから、1パック10個入りの卵を1日でそろえるためには、10羽のニワトリが必要となります。

 スーパーの棚にたくさん積まれ、手軽に手に入れることのできる卵を見ると、その後ろにたくさんのニワトリが見えてきます。

 この事実を知った学生さんたちは、卵に対してありがたみが増したと話してくれます。動物園での実習では、動物たちの飼育を通して、命のつながりを自分たちの生活に置き換えて実感してくれているようです。

 日本では、およそ3億羽もの採卵用と食肉用のニワトリが飼育されています。しかし、ニワトリたちの様子を、私たちが目にすることはほとんどありません。

 店頭できれいに陳列されたパック詰めの肉や卵からは、命を感じにくくなっています。それでもいま一度「いただきます」と手を合わせる日本の習慣を見詰め直したいものです。

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