<南風>宮古島メロンのロマン

 年末に、宮古島に住む母から贈り物が届いた。その箱には「宮古島メロン」の文字が。宮古島のフルーツといえば、マンゴーを思い浮かべる人も多いだろう。夏には、毎年、宮古島から丸々と実った大きなマンゴーが届く。

 そのおいしさは格別だ。それが、「宮古島メロン」という新しい特産物が誕生していると耳にはしていたが、初めて食す機会に恵まれた。

 カットするやいなや芳醇(ほうじゅん)な香りが広がり、果実はとろけるほど柔らかく、蜜のように甘くてジューシーな果汁が口いっぱいに広がる。マンゴーに続いて、一瞬で宮古島メロンのとりこになった。メロンといえば、北海道の夕張メロンなど、涼しい地域で生産されているイメージがある。それが1年を通して、温暖な気候の宮古島で生産されているというので驚きだ。実は、気温が15~25度になる宮古島の冬は、メロンの栽培に最適らしい。また、水はけがよく、ミネラルとカルシウムが豊富な宮古島の土壌も最適で、香り高く、味の濃いメロンができるという。

 ブランド化を図るため、糖度14度以上で、形の良いものだけが、宮古島メロンと認定されるそうだ。このような販売戦略は、品質の維持と、1玉当たりの価値。価格も上がることで生産者の意識も向上する。

 冬の時期と春の時期の2回もの収穫の季節があり、生産性が高く、中には夏はマンゴー、冬にはメロンを栽培する生産者もいるなど、農業経営のビジネスモデルとしても、素晴らしい事例だと思う。

 そんなことを考えながら食べていると、ただおいしいだけでなく、開発までのさまざまな方の思いが詰まったメロンの味に、なお感動する。いずれは宮古島メロンを全国、世界中の人が求め、手の届かない特産物になるのも、そう遠い未来ではないかもしれない。

(下地友香、ちゅらグルメ編集長)

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