県、不承認の正当性を主張 辺野古抗告訴訟 那覇地裁で初弁論

 沖縄県名護市辺野古の新基地建設で、軟弱地盤改良工事に伴う防衛省の設計変更申請を県が不承認とした処分を巡り、不承認の効力を回復させるための抗告訴訟の第1回口頭弁論が8日、那覇地裁(藤井秀樹裁判長)で開かれた。県側は、不承認を取り消した国土交通相裁決は違法で無効だと主張。国側は、県に訴訟を起こす適格性がないとして、訴えを却下するよう求めた。次回の弁論は4月26日に指定された。

 不承認に関する県と国の訴訟は3件目。県は国交相裁決の取り消しを求めている。変更申請に対する県の承認が得られなければ、国は大浦湾側の埋め立て工事を進められず、新基地を完成させることができない。

 県は2021年11月、軟弱地盤の調査が不十分であることなどから設計変更申請を不承認とした。国交相は県の不承認を取り消す裁決をし、さらに承認するよう求める是正の指示をした。

 8日の初弁論では、県と国の代理人弁護士がそれぞれの主張の要旨を陳述。県側の加藤裕弁護士は、埋め立てが確実に実施できるか不透明な上、普天間飛行場の危険性の早期除去を目的としていたのに、工期が当初予定より3倍以上に延びていると指摘。防衛省の変更申請は、公有水面埋立法で規定されている災害防止や環境保全などの要件も満たしていないとし、「不承認とした判断に裁量の逸脱・乱用はない」と述べた。

 国側は、県の不承認処分や国交相裁決が適法だったかどうかには触れず「県の訴えは不適法」だとした。

 県は抗告訴訟のほか、地方自治法に基づき裁決と是正指示の取り消しを求めて2件の訴訟を起こしている。2件とも福岡高裁那覇支部で結審し、3月16日に判決が言い渡される。

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