大宮で流血…配達員ら重傷、届け先の男に懲役21年 心神喪失を主張していた 今も後遺症に悩む配達員

さいたま地裁=さいたま市浦和区高砂

 2021年4月、埼玉県さいたま市大宮区のマンション敷地内で、配達に訪れた運送会社の男性2人を切り付け、高級腕時計などを奪おうとするなどしたとして、強盗殺人未遂や銃刀法違反、窃盗などの罪に問われた、住所不定、無職中井楽人被告(22)の裁判員裁判の判決公判が8日、さいたま地裁(金子大作裁判長)であった。金子裁判長は「執拗(しつよう)で危険性が高い犯行」などとして懲役21年(求刑・懲役22年)を言い渡した。

 判決理由で金子裁判長は、中井被告は犯行時、やみくもに行動していたわけではなく攻撃対象を明確に認識していたと指摘。「計画を立てて犯行に及んでおり、自己の置かれた状況や目的の実現に向けておおむね一貫した行動を取っている」とした。

 その上で、中井被告は2人に対し、包丁で強く複数回切り付けており、「強固な犯意に基づく執拗で危険性の高い犯行」と指摘。「(被害者は)現在も後遺症に悩まされ、日常生活や仕事にも影響が出ており、結果が重大」と述べた。

 弁護側は、中井被告は睡眠薬の多量摂取により犯行時、意識障害に陥っていたとし、心神喪失を主張していた。

 判決によると、中井被告は21年4月22日、同区のマンション敷地内で高級腕時計3本(販売価格計938万円)を届けに来た配達員の男性=当時(34)=の頭や肩を切り付けて重傷を負わせ、別の配達員男性=当時(53)=の顔を複数回切り付けて後遺症を負わせる重傷を負わせ、高級腕時計を奪おうとするなどした。

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