元マイクロソフト役員が明かす、ショートカットキーをたくさん覚えている人ほど作業が遅い理由

キーボード操作で、複数のキーを組み合わせることで特定の機能を実行させることができる「ショートカット」。作業効率化に欠かせない機能ですが、意外にもたくさん覚えている人ほど作業が遅くなってしまうこともあるようです。

元マイクロソフト役員の越川慎司( @shinjiko9 )氏の著書『仕事ができる人のパワポはなぜ2色なのか?』(アスコム)より、一部を抜粋・編集してショートカットキーをたくさん覚えている人ほど作業が遅い理由を解説します。


ベテラン社員の頼みをむげに断れず「説明の無限ループ状態」に陥るのを防ぐ方法

何回説明しても理解してもらえない「記憶喪失おじさん」

新しいITツールが導入されると、社内のそこかしこで見られる光景。

それは、ITが苦手な年配社員が、若い社員の席に行って、「悪いんだけど、これ、どうやったらいいのか教えてくれないかな」と言っている……と、そんな光景です。

説明会で、「わからなければ、格納されているマニュアルを見てください。それでもわからなければ、聞いてください」とは言われています。

でも、システム部門が作ったマニュアルは、数か月に1回しか使わないような細かい機能まで説明してあるため結構な量で、知りたいことがどこに書いてあるか探すのが面倒。それに、システム部門の人に質問すると、「マニュアルのここに書いてあります」と言われたり、説明してくれたとしても、専門用語を使われて、どうもわかりにくかったりします。

それに、なんとなく、「こんなこともわからないの」という空気を感じて、ちょっと悔しい。

それで、同じ部門で、自分が個人的によく知っていて、話を聞きやすい若い後輩や部下に手っ取り早く聞いてしまうわけです。しかも、こういう人は、1回聞いただけではなかなか覚えてくれず、何度も同じ話をする羽目に。 「この人、記憶喪失なのかな……」とぼやきたくなる若手社員の気持ち、わかります。まるで「記憶喪失おじさん」です。

急ぎでやらなければならない仕事があるときにかぎってやってきて、簡単に説明しても、なかなか理解してもらえない。かと言って相手は先輩社員なので、冷たくあしらうわけにもいかず……。手取り足取り教えなければならないことも多く、「教えるよりは速いか」と考えて、「じゃあ、やっておきますよ」なんて、仕事を引き受けてしまう羽目になることもあったりして……。

これでは、 まるでボランティアです。先輩社員のために、自分の残業時間が増えてしまいます。

解決策

私は、この現象は、ある程度、仕方のないことだと思っています。ベテラン社員の行動を止めるのも現実的には難しいでしょう。

ただし、そこに、 「win&winの精神を導入するべき」 というのが、私のオススメする解決策です。そうすれば、ベテラン社員への説明の時間が「ムダ」ではなくなります。

先輩社員が「悪いんだけど、ここ教えてよ」と言ってきたら、「いいですよ、その代わり、この提案書のこの部分のコメント、一緒に考えてもらってもいいですか?」とそんなイメージ。
先輩社員には、先輩社員の得意な仕事があります。不得意なITの部分を教えてあげる(あるいは、やってあげる)代わりに、先輩の得意分野でお返しをいただくのです。

実はこの、先輩に教える代わりに、先輩からも見返りをいただくという現象は、実際にすごく増えているのです。

ベテラン社員としても、自分が「お返し」をしなくてはならないとなれば、もう少しだけ真剣に聞いてくれます。「またあとで聞けばいいや」とたかをくくっているから、簡単に忘れるのです。

えっ?

「○○さんには、見返りとして助けてもらうような得意な仕事はない」ですって?

それなら、「教える代わりにランチ、おごってくださいね」でもよしとしましょうか。

それだけでも、あなたの「ボランティア感」は薄くなりますし、相手も、「タダでは教えてくれない」という印象が残って、自分で調べるようになるかもしれません。

教えてもらうときは、「win&win;」の考えを導入する

意外な事実! ショートカットキーをたくさん覚えている人ほど作業が遅い

ショートカットキーを覚えること自体を目的化してしまった「ショートカットキーマニア」

「ショートカットキーをうまく使って、仕事の効率アップを図ろう!」

そんな言葉を聞いたことはありませんか。

いっとき、アウトルックのショートカットキーの活用が流行って、それをテーマにした本も出ました。

でも、 私が1万2000人の行動実験を分析した結果わかったことは、「ショートカットキーにハマって、仕事の効率がアップした人はあまりいない」 ということです。

そうですね。ショートカットをたくさん覚えて仕事が速くなった方の比率はせいぜい2割くらいでしょうか。

別にショートカットキー自体を否定するわけではありません。

上手に使いこなせばいいのですが、めったに使わないキーを無理やり覚えても、いざというときに役に立たず混乱を招いてしまいます。

要は、やみくもに、 なんでもかんでもショートカットキーを覚える「ショートカットキーマニア」 状態になっても作業効率は上がらないということです。

解決策

あなたの仕事がよほど特殊なものでないかぎり、使って役に立つショートカットキーは、せいぜい10種類ではないでしょうか。

はっきり言って、必要のないものは覚えても意味がありません。

ショートカットキーの本には、それこそ、200個くらいのショートカットキーが載っているかもしれませんが、全部覚える必要なんてサラサラありません。

本の著者の意図も、「これだけあるなかから、あなたが仕事でよく使うものを選んで使ってくださいね」ということのはず。

ヘタにたくさん覚えて、「えーと、どのキーだっけ」となったり、めったに使わない機能をわざわざ調べて使ったりしてしまうから、仕事の効率アップにならないのです。

解決策として、1万2000人の行動実験を分析した結果わかった、「時短を実現したTeamsショートカットキー10選」を効率アップのサンプルとして一覧にいたしました。

参考にしていただければ幸いです。

1.2万人のTeams利用者が時短を実現したショートカットキーTOP10

本当によく使うショートカットキー10種類覚えれば十分

仕事ができる人のパワポはなぜ2色なのか?

著者:越川 慎司
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