話題の店が続々オープン!今、行きたい店はここだ!

コロナ緊急事態宣言も5月11日に撤廃が決まり、正常化が進む米国。ニューヨークでも昨年の夏から秋にかけて新しい店が続々とオープンしている。今週はそんな新顔にクローズアップ!(取材・文/加藤麻美)


NYのマツキヨ、テソライフ快進撃

日系サプライヤー大手と提携し、プチプラをはじめとした日本の化粧品、スナック菓子、日用雑貨、キッチン用品、OTC薬などを販売、その圧倒的な品揃えから在住日本人およびアジア人の間で絶大な人気を誇る中国系ドラッグストア「テソライフ(TESOLIFE)」。中国人起業家アンディ・リンさんが2017年、クイーンズ区フラッシングで創業。破竹の勢いで店舗を増やし、ロングアイランドシティ(LIC)やベイサイドにも大型店舗をオープンし、現在はニューヨークに10店舗、ダラスに1店舗を展開。同社のマーケティング担当、シィーワイ・クウォックさんに売れ筋商品や今後の出店計画について聞いた。

売れ筋商品をコンパクトにまとめた西32丁目にあるKタウン店。いつ行っても混んでいる

━テソライフでは現在、何種類のブランドを取り扱っていますか?

店舗の規模や地域によって異なりますが、約250~300のブランドを取り扱っています。

━どのような視点で取り扱いブランドを決めているのでしょうか? また、日本の商品が外国人に支持される理由は何だと思いますか?

私たちはトレンドを常に把握し、さまざまなマーケットでの人気を考慮して決めています。日本製の商品が非日本人に人気なのは、なんと言っても品質が良いからだと思いますね。

━一番売れている商品は何ですか?

化粧品は、MONKIMONのフェイシャルタオル、資生堂のフィーノヘアマスク、キスミーのアイライナー、スナック菓子は、グリコのディズニーロリポップ、LAYSのポテトチップス(神戸ビーフ味)、カルビーのポテトチップス(ピザ味)、その他にはPOPMART & 52Toysの
ブラインドボックスでしょうか。

━実際に店舗に来店している主な客層は?

主なお客様は、アジアの商品に興味がある方、好きな方です。地域によって、アジア系と非アジア系のお客様がいらっしゃるので、客層は多岐にわたります。

━新しくオープンしたLIC店の特徴を教えてください。

9店舗目となるLIC店は、お客様に人気の最新アイテムを豊富に取り揃えています。LIC店に来ていただければ、あなたの必要なものが必ず見つかるはずです。そして、最高のTESOを体験してください。

━ニューヨーク市内で他におすすめの店舗は?

どの店舗も甲乙付け難いですが、フラッシングには徒歩圏内に3店舗あり、品揃えも各店舗で変化を持たせていますので、「お店巡り」をしてみるのもいいかもしれないですね。またマンハッタン西32丁目のKタウン店は、各種商品をバランス良く置いていますので、ショッピングがしやすいと思います。

━今後、どのような商品に力を入れていきたいですか? また、ニューヨーク、ニュージャージーエリアでの次の出店計画はありますか?

私たちは、自分たちの戦略を貫き、お客様にベストで人気のある商品を提供し続けたいと考えています。現在、ニューヨーク以外の地域にも進出しており、次の店舗はニュージャージー州のジャージーシティーになる予定です。同時に、マサチューセッツ州ロックビル、ジョージア州アトランタ、テキサス州ヒューストン、フリスコ、アリゾナ州チャンドラーなどにも出店する予定です。これからもTESOの体験を全米中の人たちに届けられることを願っています。

TESOLIFE
www.tesolife.com

お話を聞いた人

CY Kwokさん
テソライフ・マーケティング担当

日本の食とアート、ライフスタイルを集めた50 Norman

昨年9月にブルックリン区グリーンポイントにオープンした50ノーマンは、3500平方フィートに及ぶ巨大なガレージ跡地に選りすぐりの日本の食とアート、ライフスタイルを集めたマルチコンプレックスだ。随所に日本のエッセンスを感じさせる空間は著名建築家、長坂 常によるもの。ニューヨークデビューとなる3店舗の担当者に出店理由や取り扱い商品などについて語ってもらった。

50 Norman Ave, Brooklyn, NY 11222
www.50norman.com


日本人が創るフレンチを発信

ハウス HOUSE

Q. 出店理由は?

20年間東京に住んで、「どこか違う場所に住みたい」とずっと思っていたんです。1店舗目が軌道に乗れば2店舗目を出すのは比較的簡単だけど、もう少し充実感のある仕事をしたい、新しい挑戦がしたい、と考えてニューヨークを選びました。グリーンポイントに店を出そうと決めたのは、街並みや匂い、行き交う人の雰囲気が昔住んでいた東京の駒沢になんとなく似ていたから。好きな場所でやった方が気分がいいじゃないですか。

Q. 50ノーマンの仕掛け人だそうですね?

物件としてここを紹介してくれた建築事務所ブランクデザインの宮園聡文さんと、「広すぎるので他のお店が入ってくれるといいのだけれど、かといって間仕切りは作りたくない。日本の文化を手にとれるようなお店で、僕らとセンスが合う人たちとやれたらいいなぁ」と話していたんです。もともと僕はシボネの親会社ウェルカムグループにいたので、横川正紀代表に相談をしたらとんとん拍子に話が進んで。尾粂商店は設計を手がけたスキーマ建築計画の長坂 常さんが紹介してくれました。

Q. ハウスではどんな料理を出すのですか?

カウンター形式のおまかせフレンチジャパニーズ(9コース)です。旬の素材を味わっていただくために、ハーブやスパイスで味を調えるフレンチの技法と、発酵とだしで味を調える和食の技法を融合させた、他にはないユニークなメニューを提供しています。シグネチャーは、西麻布店でも出しているフォアグラのピラフ。バターで炒めたお米を魚のアラで炊いて、その上にフォアグラのソテーと柴漬け、グリーンオニオンをトッピングして、照り焼きソースをかける。まさに和仏折衷でしょ。

メニューは食材によって変わる(不定期)。ワインはナチュラルワインのみ。ミシュラン星付きレストランの元ワインディレクターが監修

Q. 食材はどこから?

魚介類と和野菜、お米や漬物は日本から。鴨やフォアグラ、乳製品などは地元の契約農場から仕入れています。

Q. 反応はいかがですか?

ポーションはどれも少なくないと思うのに、(料理を)残す人はいないです。みんな食べるのがすごく早い。「美味しかったよ」と声をかけてくれるお客さんも多いので、喜んでいただいていると思います。

谷祐二さん
オーナーシェフ

京都府出身。
地元の老舗寝具メーカーで営業を担当した後、京都のフランス料理店「ベルクール」で修行。
その後上京し、いくつかのレストランで総料理長を務めた後2007年、東京・西麻布に「HOUSE Tokyo」をオープン。
15年オーナーシェフに就任。
同店はアンドレア・ファザーリ著「トーキョー・ニュー・ウェーブ」をはじめとした出版物にも多数取り上げられている。
2019年、来米。

house-bk.com
水〜土曜の午後5時から営業


日本のだし文化を発信

尾粂商店 OKUME

Q. 出店理由は?

従来はプロ向けのビジネスが主体だったのですが、一般のお客様にも弊社の製品を知っていただきたいと考え、2021年夏にオープンした日本最大級の食のテーマパーク「VISON(ヴィソン)」(三重県多気郡)に世界初の「オーダーメイドだしパック(特許出願済み)」が作れるコンセプトショップを作りました。同店での手応えをもとに日本食がすっかり浸透したニューヨークで、だし文化をさらに広めたいと考え、「DASHI OKUME BROOKLYN」を出店しました。

Q. ブルックリン店のコンセプトは?

だし(オーダーメイドだしパックの販売)、セレクト(日本全国各地から厳選した米やみそ、干物、ドレッシング、スパイスなど無添加の名産品の販売)、イートイン(上記の食材を使った定食の提供)です。

Q. 主力商品は?

カツオやマグロ、サバなどの節(ブシ)とイワシやトビオウオなどの煮干し(イノシン酸)、昆布(グルタミン酸)、干し椎茸(グアニル酸)を弊社独自の黄金比率でブレンドした、だしパック4種類(スタンダード、プレミアム、東京、京都。それぞれ15、30袋入り)と、お客様の好みに合わせてブレンドする「オーダーメイドだしパック」です。まずは既製品のだしパックで試していただいて、「もっとパンチが欲しい」「○○のだしに使いたい」などといったお客様の好みや使い方に応じて原料の組み合わせを一緒に選び、原料を粉砕して充填機で袋詰めにします。全工程をお客様の目の前で行いますので、品質や鮮度は折り紙付き。一般のお客様はもちろん、ミシュラン星付きのレストランのシェフからも好評をいただいています。

「オーダーメイドだし
パック」のカウンター。
パックにしなくても鰹節や昆布などをオンス単位で購入できる

Q. 今後の予定は?

ミシュラン星付きレストランのシェフとのコラボイベントを開催します。詳細はインスタグラムで発表します。ご期待ください。

奥のカウンターやテーブル席では同店で販売するだしや味噌、一夜干しを使った焼き魚定食(35〜45ドル)が食べられる

高橋利斉さん
開発・企画担当副部長:

okume.us


尾粂商店 okume.jp

魚市場発祥の地・日本橋で明治4年に創業し、今年で151年目を迎える水産仲卸の会社。現在は東京都中央卸売市場・豊洲市場で水産加工品の他、だしの素となる乾物、昔ながらの無添加や天日干しの製法にこだわった塩干加工品、全国の目利きが厳選した無添加食品や食材など200種類以上の品を取り扱っている。

京都の古民家を解体した木材を使って伝統的な日本建築を彷彿とさせる空間に再生。設計はスキーマ建築計画の長坂常とTANK、店名(サイン)デザインはグラフィックデザイン事務所のvillage®が担当した


日本のものづくりを発信

シボネ CIBONE

Q. 出店理由は?

世界の文化を学びながらさまざまなものづくりに触れてきたこれまでの経験を活かして、今度は日本の作家やデザイナー、アーティストのものづくりを米国さらには世界に向けて発信していきたいと考え、出店を決めました。

Q. シボネが提唱する「未来のアンティーク、これからのクラシック」とは?

人が生み出すものの多くは、人の一生よりも長く存在します。なぜならば、創作した作家がこの世を去ってもなお、「賞賛」や「共感」といった形で後世に伝えられるからです。賞賛や共感のためにはコミュニケーションを引き起こす力が必要です。10年後、50年後、100年後まで生き続け、人から人の手に渡り、そこで会話や社会へのつながりが起きるような、用途だけではないコミュニケーション形成に役立つような作品、ずっと愛でることができる、強度のある作品を「未来のアンティーク、これからのクラシック」と定義しています。

Q. 作家選定の基準は?

基準は設けていませんが、現在は日本人アーティストや生産者による作品のみ取り扱っています。先にも述べたように、古いもの新しいもの、有名無名を問わずに、また作品のみならず、作り手本人に魅力があるかかどうかも重視して選定しています。作品はあくまでコミュニケーションのツールの1つだと思うので。

Q. 今後は、どのような作品を紹介していきたいですか?

月に1回、日本の作家やキュレーターの展覧会を行います。内容は、うつわやアートオブジェ、絵画、家具や音楽など多岐にわたり、さまざまな角度から日本の作品を紹介していきたいと考えています。また、現地の優れた才能にも注目し、日本に発信していく予定です。

Q. イベントやワークショップなどを開催する予定は?

月に1回、ローカルアーティストとのワークショップやポップアップイベントを開催します。オクメやハウスなど食を軸にした50ノーマンならではのイベントも計画しています。

小野哲平、田宮亜紀などによる器や、ガラス作家の和田朋子、美術家の寺山紀彦、イラストレーターのカワイハルナなどさまざまなアーティストの作品を展示販売

今川拓人さん
ブルックリン店マネージャー

cibone-us.com


シボネ

「未来のアンティーク、これからのクラシック」をテーマに日本のものづくりや刺激的なデザインを紹介するライフスタイルショップ。企業理念は、「ものを『選ぶ』だけでなく、自ら『つくりだす』意識で、変容する世界に対して常に新しさとユニークさを問い続ける」こと。2001年、東京都港区青山に第1号店をオープン。


ナチュラルワインとアラカルト、〆はラーメン

トンチン・ブルックリン TONCHIN BROOKLYN

1992年東京池袋に創業した東京豚骨ラーメンの人気店「屯ちん」のニューヨーク第2号店。昨年11月に開店5周年を迎えたミッドタウン店はミシュランのビブグルマンを4年連続受賞する人気店。大好評を受けてのブルックリン店も昨年夏のオープン以来、これまた連日大盛況。

アラカルトメニューは、豆腐とひよこ豆で作った特製フムスに軽くローストした椎茸と酸っぱさ控えめの酢味噌を合わせた、シイタケ(写真右=12ドル)、真鯛のお刺身はガーリックとライムが効いたヨーグルトソースでタルタルに。隠し味にラッキョウのみじん切りを加えキャビアを添えた、ホワイトタルタル(28ドル)など、目にも舌にも美味しいものばかり。

同店のシグネチャー、トンチンクラシック東京豚骨ラーメン

ラーメンは、独自配合の小麦粉を使った中太ちぢれ麺。同店奥の厨房でその日の気温や湿度に合わせて粉の配合を変え手打ちする。おすすめはトンチンクラシック東京豚骨ラーメン(19ドル)。豚骨をベースに濃口醤油で旨味だけを引き出し、吟味した豚肉・鶏肉・野菜などを長時間じっくりと炊き出した、さっぱりしながらもコクのあるスープが特徴。豚の脂の甘さがじんわりと口中に広がるチャーシュー、とろとろ煮卵、自家製の特大メンマと、こだわり抜いた味が丼に凝縮した逸品だ。近年、ワイン通の間で注目されているオレンジワインなどナチュラルワインは120種類、抹茶やザクロジュースを使った創作ノンアルコールカクテルも充実している。

109 N 3rd St, Brooklyn, NY 11249
www.tonchinbrooklyn.com


昼はカフェ、夜はおまかせパーテ

アズ・ユー・ライク As You Like

イーストウィリアムズバーグ、地下鉄L線のグラハムアベニュー駅から徒歩5分。シンプルだが温かみのある店内には大きな共有テーブルと2人用の小さなテーブルが2つ。ご近所の人たちがふらりと立ち寄って、本を読んだり気軽におしゃべりしたりできるような空間を作りたいと、オコノミ/ユージラーメンのオーナーシェフ、原口雄次さんが昨年8月にオープンした。

オコノミ/ユージラーメンで使用している器の他、スタッフが選んだ陶芸家の作品を展示販売。不定期で「陶器市」も開催

同店を含めて2店舗でしか飲めないというアラビカコーヒーは、イーストハーレムの焙煎業者から特別に仕入れたもの。黒蜜や抹茶を使ったオリジナルドリンクとクロワッサンやマフィン、あずきトースト(7ドル)の他、日本酒やビール(12ドル)もあるので、ちょいのみもOKだ。ちなみに同店、夜は原口さんによる12席限定の「おまかせスシパーティー」の会場に変貌する(不定期開催*)。個人、グループと参加者はさまざま。美味しいおすしとお酒で盛り上がれば、他人同士でもあっという間に友達に。金・土曜の午後4時から7時はハッピーアワーも実施。今月からオコノミマーケットによるお弁当のテークアウトも始まる。

コミュニケーションを大切にしたいとの考えからWi-Fiはつなげていない

人気メニューの黒蜜入り抹茶ラテとあずきトースト

*おまかせスシパーティーのチケット購入はオサカナのウェブサイト(www.osakana.nyc)から

428 Humboldt St, Brooklyn, NY 11211
www.asyoulike.nyc

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