「指導という名の執拗なパワハラ、認めて」部活高2自死、遺族が沖縄県を提訴 元顧問の暴言に「追い込まれた」

 2021年1月に沖縄県立コザ高校2年の男子生徒=当時(17)=が自ら命を絶った問題で、生徒が自死したのは部活動の顧問だった元教諭のパワーハラスメントが原因などとして、遺族が9日、県に約1億3900万円の損害賠償を求め那覇地裁に提訴した。
▼【遺族のコメント要旨】息子の努力や苦悩に、目を背けず向き合ってもらいたい
 生徒は運動系の部活に所属し、主将を務めていた。21年2月中旬、県教育委員会は第三者調査チームを設置。調査チームは同3月5日、「自死は部活動顧問との関係を中心としたストレスが要因となった可能性が高い」とする詳細調査報告を県教委に提出した。県教委は21年7月に元顧問を懲戒免職処分とした。
 訴状によると、元顧問は生徒を叱る際に「気持ち悪い」「キャプテンを辞めろ」などと発言。部活動外の時間に雑用を強要したり、携帯電話で緊急ではない連絡や指示をしたりした。暴言を伴う激しい叱責(しっせき)によって「自死を選択せざるを得ない心理状態に追い込まれた」と主張した。当時の校長らも、元顧問の暴言などを止める措置を講じず、安全配慮義務に違反したとしている。
 提訴後、遺族側代理人の池味エリカ弁護士らが那覇市内で記者会見した。「提訴したのは、県に『指導死』による息子の死を認めてもらいたいという気持ちからだ。指導という名の執拗(しつよう)なパワハラがあったときちんと認めてもらいたい」などとする遺族のコメントを読み上げた。
 半嶺満県教育長は「コザ高校の事件については、誠に遺憾に思っている。今回の訴訟提起については、訴状が届き次第適切に対応していく」などとコメントした。
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