約5万年ぶりに地球に近づいたとされる「ZTF(ズィーティーエフ)彗星(すいせい)」の観測条件が良くなる今週末に向け、美星天文台(井原市美星町大倉)が来場を呼びかけている。肉眼では見つけづらいため、10~13日の観望会では、観測に適した低倍率望遠鏡を準備し、案内する。
ZTF彗星は2日未明、地球から約4200万キロメートルまで最接近。現在は徐々に遠ざかっているが、観測の障害になる月明かりの条件が今後良くなるため、2月中旬が最も見えやすい。夕方以降、空高くに出現、11日には火星、14、15日はおうし座の1等星アルデバランに近づき、これらが目印になる。
同天文台の伊藤亮介技師は「彗星が望遠鏡で観測できるのは数年に一度のこと。晴れれば好条件となるので、天体ショーを楽しんでほしい」と話している。
ZTF彗星は、米カリフォルニア州のパロマー山天文台の観測プロジェクトで2022年3月に発見された。太陽の周りをぐるぐる回る元々の軌道から外れたため、今後は太陽系から離れて二度と戻ってこないと考えられている。
同天文台では1月21日未明、口径18センチの小型望遠鏡で撮影に成功。彗星から噴き出したガスやイオンによる“尾”が広がっている様子を捉えた。
同天文台の夜間観望会は、金曜~月曜の午後6時~10時(入場は同9時半まで)。入館料は小学生以上300円。問い合わせは同天文台(0866ー87ー4222)。