「怖い上司」や「距離を感じる同僚」と上手くコミュニケーションをとるテクニック

「怖い上司」や「距離を感じる同僚」とコミュニケーションをとらなければいけない時、どうすればスムーズにいくでしょうか?

元マイクロソフト役員の越川慎司( @shinjiko9 )氏の著書『仕事ができる人のパワポはなぜ2色なのか?』(アスコム)より、一部を抜粋・編集して社内コミュニケーションについて解説します。


7割の社員が課題を抱える「直接コミュニケーション」

最近、「話し方」や「聞き方」など、コミュニケーションに関するビジネス書がよく売れています。

これは、裏を返せば、コミュニケーションについて悩む人が多いということ。

たとえば、職場でのコミュニケーションは、「怖い顔をした上司との関係」「協力してくれない同僚との関係」「心を開いてくれない後輩や部下との関係」など多彩。ある意味、本来の業務よりも難しい問題です。

コミュニケーションが円滑でないと、仕事にムダが起きやすいことを実感している方 は多いと思いますが、それはデータでも裏付けられています。

働き方や人材育成などのビジネスに関する調査研究を行う「HR総研」が2021年に発表した調査によると、 コミュニケーション不足が業務の妨げになると答えた人が全体の約7割 にのぼりました。なかでも、「迅速な情報共有」「部門間の連携」「業務中の気軽な相談・質問」ができないことが問題だとする答えが多く見られました。

ベテラン社員ですら難しいコミュニケーションですが、20代、30代の若手社員はさらに深刻といえます。若手社員の多くは、プライベートな友人とでさえ、SNSでのコミュニケーションが当たり前になっている世代なので、「人と会って話をする」という「直接コミュニケーション」に苦手意識を持ち、不得意になってしまっているのです。

さらにコロナ禍で、就職活動はすべてリモート。就職してからも、入社式、教育研修、そして、配属後の仕事も全部リモート。上司と直接会ったことがほとんどない新卒社員まで存在するのです。

ここから、「もう1つのお仕事」とも言うべき、社内コミュニケーションで発生しやすいムダと、その解決策についてお伝えしたいと思います。

「怖い上司に質問できない」人に教えたい、機嫌よく答えてもらう3つのコツ

「いつでも相談してくれよ」という人ほど相談したら怒り出すので結局「ggrsk(ググるしかない)」

あなたは、たとえば、仕事で打ち合わせをしているときに、わからない言葉に遭遇したら、どうしますか? 上司や先輩社員に、気軽に「あの〜、今の○○ってどういう意味ですか?」って聞くことができるでしょうか?

たぶん、素知らぬ顔でメモしておいて、席に戻ってからGoogle で調べるのではないでしょうか。

もしかしたら、上司から「わからないことがあったら、いつでも聞いていいから」なんて言われているかもしれません。でも、悲しいかな、そういうことを言ってくれる上司にかぎって鬼軍曹みたいな顔をして、いざ聞いたらお説教が始まったりします。

それでつい、 聞きにくくて「ggrsk(ググるしかない)」状況になります。

それで言葉の意味が見つかればよいのです。問題は出てこなかったときです。

もし、わからなかった言葉が社内だけで使っている用語なら、いくらネットで検索しても永遠に見つかりません。

しかし、打ち合わせのときに、知ったかぶりをしてしまったので、今さら周りに聞くこともできず……。

単純な「言葉」だけでなく、「職場で発生したトラブル」の解決策までもインターネットで検索して調べる人も多いそうです。

たとえば、営業部門と開発部門の部門長の仲が悪くて困ったら、ネットで「部門長」「仲が悪い」「解決策」などというワードを打ち込んで、検索するのです。

そんなことをしても、社内事情はそれぞれで、ごく一般的な回答しか得られないと思うのですが……。

それもこれも、 リアル上司や先輩に気軽に相談できないからです。

解決策

実は 上司は「頼りにされる」ことを喜びます。自尊心が満たされるからです。 手間のかからないデキる部下もありがたいですが、少し鈍くても自分を頼ってくる部下はかわいいもの。

一見、怖い顔の上司や先輩社員も、実は、「若手社員はもっと積極的にいろいろなことを相談してほしい」なんて思っていたりします。

そもそも、「年配者の多くは無表情でいると、不機嫌に見える」ということ。そして、「その8割は、不機嫌でもなんでもない」ということです。

とはいえ、実際に上司に怒られたこともあるでしょうし、「あの人は以前、厳しいことを言っていたから避けておこう」と思う気持ちはわかります。

まず大事なのは、ネットを調べれば簡単に出てくる言葉の意味くらいは自分で調べることです。

しかし、社内の人間関係とか、社内独自の習慣や社内用語とか、ネットには出ていない情報は、直接聞いたほうが圧倒的に早いのです。

では、上司や先輩社員に相談するときに、絶対に怒られないようにするための注意点を3つお伝えしましょう。

注意点1 あらかじめ、相談を予告する
相談するときは、できれば事前に「○○についてちょっと相談したいのですが、明日、少しお時間いただけますか?」などと、予告しましょう。相手も、「ああ、あの件ね」と、相談の前に少し回答を考えてきてくれます。

注意点2 自分でも仮説を立てて聞く
相談のときは、単に「どうしたらいいでしょう?」ではなく、「私はこうしたいと思うのですがどうでしょう?」と、自分なりの仮説を提示することが大切。これがないと、あなたのことを成長させたいと思っている相手から「自分はどうしたいと思っているの?」って返されてしまいます。

注意点3 長々と聞かない
いくら上司が相談ウエルカムでも、いきなり相談に行って長々と時間を割いてもらうのはマナー違反です。

ちなみに、上司が最初に知りたいのは、「なぜ今、自分に聞きにきたのか?」という意義目的なんですね。「お客様対応で、明日、提案しなければならないので、今、よろしいですか?」などと、今、聞きにきた理由を伝えると、突然、聞きに行っても、「今、忙しいから」と断られずに、相談を受けてくれる確率が倍になります。

結局のところ、上司が目指しているのは、「チームの目標達成」です。いつも、それで頭を悩ませているから眉間にシワが寄っていますが、 その目標を達成するために、あなたが相談してくるのはウエルカム なんです。

そこがわかっているだけでも、少しは声がかけやすくなると思います。

「相談を予告」「自分なりの仮説」「長々と聞かない」の3原則を守る

「気軽に相談できない同僚」との距離を縮めるには「打ち合わせの冒頭2分」がカギ

親しくない同僚に聞きたいことを聞けずにモヤモヤする「KYS(空気読みすぎ)」

前の項で、「ほとんどの上司は、不機嫌そうに見えても不機嫌ではないし、あなたからの相談を待っている」とお伝えしました。

しかし、相談相手は上司だけではありません。 社内で一緒に仕事をする同じ部署のメンバーや、後輩や部下とのコミュニケーションも重要です。 また協力して仕事を進める他部署の社員もいます。

連携する社員との心理的な距離が遠いことも、ムダが発生しやすい要因です。いつも否定的な反応ばかりする人や、そもそも反応が薄くて手ごたえがない人などは、とてもコミュニケーションが難しい相手です。

「もしかしたら、自分は嫌われているのではないか?」、「もしかして、自分は避けられているのではないか?」なんて思えてきてしまいます。 そして、いつしか話しかけることも億劫になってきます。いわば 「KYS(空気読みすぎ)」 なのです。『嫌われる勇気』という本がベストセラーになっていますが、いわば、「嫌われる勇気」が持てずに、距離が縮められないわけです。

そんな「とっつきにくい相手」とは、どうやってコミュニケーションをとり、関係を築けばよいのでしょう ?

解決策

ここで、相手との人間関係を築きたいときに有効な、ちょっとしたコツを紹介しましょう。

それは、相手との雑談のときに、 「自分との共通点を2つ見つける」 ということで す。共通点とは、たとえば、九州出身とか、お酒好きとか、キャンプが趣味とか、好きなタレントとか、なんでもオーケー。

「○○さんは、どちらのご出身でしたっけ ?」
「〇〇さんは、お酒、飲みますよね。オススメの日本酒ってあります ?」

というように、さらりと聞けば、何かしらの共通点が見つかるもの。 ちなみに、鉄板は飲食の話。まず外しません。

共通点が見つかれば、人間関係が良好になります。

もちろん、相手がプライベートについて聞かれるのが嫌そうなら、自分から情報を開示していれば、相手が「あっ、私もです」って、乗ってくるかもしれません。

別に、無理に話しかける必要はありません。たとえば、その人との「打ち合わせの2分間」は意識的に雑談をすると決めておくとよいでしょう。何回か繰り返すうちに、徐々に打ち合わせの雰囲気がなごやかになってきます。

相手の話を聞くときは、とにかく、しっかりとうなずきながら聞くことが大切 です。

余談ですが、リモート会議では、普段の会議よりも、さらに大きくうなずかないと話している相手に見えません。 「うなずきは、リモート会議で最強のリアクション」 だと覚えておいてください。

さらに、もっと気軽に相談してほしいと考えているのでしたら、「口角を上げる」ことを意識しましょう。

相手は、あなたが笑顔なら、つられて笑顔になるもの。

これを「ミラーリング効果」といいます。 コミュニケーションについて考えるとき、忘れてはいけない概念です。

ゲーム感覚で相手との共通点を2つ見つける

仕事ができる人のパワポはなぜ2色なのか?

著者:越川 慎司
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