大村入国管理センター収容者との出会い 編集長・山口雅稔

By 聖母の騎士社

 「わたしが牢にいたときに訪ねてくれた」「わたしの兄弟であるこの最も小さい者の一人にしたのは、わたしにしてくれたことなのである」(マタイ福音書25章参照)という神さまの御言葉に促されて、わたしは長崎の大村市にある「大村入国管理センター」(以下「大村入管」)に収容されている方々への面会活動を支援者の仲間たちと共にしております。

 コロナ騒動で面会が出来ない時期がありましたが、わたしの場合だいたいひと月に一度、訪問しております。わたしの面会活動の主な目的は、面会してお話を聞き、共に祈り、必要なものを差し入れすることです。これまで差し入れてきたものは、お菓子や食品、コーヒーやお茶、衣類、電池、レターセット、電池式のポータブルCD再生機(大村入管内では個人的な電気は使えません)、音楽CD、辞書、ロザリオ、不思議のメダイ、聖母カレンダー、ボールペン、鉛筆、ノート、スケッチブック、テレホンカードを購入するための現金、書類のための印紙などなど、必要性があり、こちらも可能であれば出来る限り差し入れていますが、お応え出来ないこともあります。ただ、多くの収容者は、差し入れよりも面会こそ助けになっていることを教えてくださいます。外の景色さえ一切見せてもらえない閉ざされた狭い空間で、数年間も長期収容されている方もおりますので、わずか20分から30分の短い面会だとしても、その面会によって、外からの風が流れ(実際の面会室は密閉され、アクリル板もあり双方から空気は流れず、マイクとスピーカーでの会話になりますが)、閉塞感が緩和され、家族や友人の面会が皆無の収容者の生きる力が支えられています。ですから、面会活動は、「あなたは見捨てられていないよ」というメッセージ活動でもあり、自分は誰からも見放されてしまっているという絶望から自ら命を絶ってしまうことを防止する、命を守る活動でもあります。

 2019年3月に初めて面会をしたネパール人男性(現在40歳)が、4月に施設内で怪我をし、その怪我が適切に治療されずに、面会を重ねる中で、松葉杖になり、車椅子になり、排尿障害になって自力では排尿が出来なくなりカテーテルを入れられ、寝たきりになってしまい、痛みのため寝返りも打てず、大村入管ではもはや介護が出来ずに介護施設に移され、施設内の一室が入管の管理下に置かれ、24時間カメラで監視されベッドの上での介護排泄もカメラがオンのまま、1日に7回痛み止めを投与され続けても、痛みは治らずわたしとの電話で痛みを訴え続ける状況が2年以上続き、昨年の秋には生きる心も限界に達し、食欲も一気に減少していきました(2019年6月に大村入管内で収容中のナイジェリア人男性が餓死したこともあり、食べられなくなると死に直結することが心配される状況)。

 そのような中、支援者は会議を重ね、国と交渉し、医療や介護費など、全てを支援者が背負う可能性もありつつ、彼の命を救うために、大村入管から釈放する段取りを組み、ようやく昨年末2022年12月22日、福岡県の病院に移すことができました。現時点ではまだ治療計画が立っておりませんが(治療されない期間が長く続いた為、もはや生涯、障害者として生きることになるかもしれないこともあり計画が難しい)、精神的には以前より遥かに良い状況になったことで、彼は絶えず感謝の言葉を表しています。昨年、本誌の「編集室から」でもお伝えしたことで、読者の皆さまからも励ましやお祈り、援助をしていただけたことを改めて感謝申し上げます。

 今後も彼のリハビリや入院や治療などの費用が長期に渡り必要になってきますので、読者の皆さまにもお祈りやご支援をしていただきたく、この紙面を活用させていただきました。ご協力くだされば助かります。どうかよろしくお願いいたします。神さまからの祝福がありますように。アーメン。

聖母の騎士 2023年3月号より掲載

■ STARs (長崎大学学生団体)
STARsは難民問題,入管問題に取り組む長崎大学の学生団体です。 ご支援のほどよろしくお願いいたします。
https://www.actionforomura.com/

ゆうちょ銀行からのお振込
店名(店番):768店(ナナロクハチ)店
預金種目:普通預金
口座番号:3193441

ゆうちょ銀行以外からのお振込
銀行名:ゆうちょ銀行(金融機関コード:9900)
支店名:768店(ナナロクハチ)店
預金種目:普通預金
口座番号:3193441
口座名:STARs(スターズ)

© 聖母の騎士社