「戦後最古」長崎・旧魚の町団地 保存、活用へ 6事業者が3月“お試し入居”

旧魚の町団地=長崎市魚の町(県提供)

 現存する戦後最古の団地の一つ、長崎市の旧魚の町団地について、所有する県は民間団体と連携し、保存・活用の検討を続けている。2020年10月以降、団地の見学会やリノベーションのワークショップなどを実施。活用開始時期は「未定」(県住宅課)だが、市民からはカフェやギャラリーなどの案が上がっており、3月下旬には“お試し活用”として6事業者が1週間程度入居する予定だ。
 県住宅課は「歴史的価値は高いが、市民にはあまり知られていない。にぎわい創出や若者定着などに資する使い方が生まれてもらえれば」と期待する。
 団地は鉄筋コンクリート造りの4階建て(24戸)。1948(昭和23)年に着工し、「48型」とも呼ばれている。2018年に入居者が退去し、現在は閉鎖。県などによると、現存する48型は旧魚の町団地と、静岡市に2棟、広島市1棟、山口県下関市に1棟の計5棟のみ。
 昨年10月、活用の可能性について広く意見を求めるため実施する「サウンディング型市場調査」への参加事業者を募集。県によると、アーティストや若者の市民グループなど7事業者が手を挙げ、そのうち6事業者が3月下旬からお試しで始める。来訪者と一緒にアート作品の制作やDIY(日曜大工)をするほか、デジタルトランスフォーメーション(DX)導入に向けた相談事業など、幅広い内容が予定されている。
 一方、産学官でつくる任意団体「長崎ビンテージビルヂング」などと連携し、歴史の掘り起こしにも取り組んでいる。旧魚の町団地に関する写真やエピソードも募集中。問い合わせは同課(電095.894.3104)。


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