『対馬―釜山航路』 25日再開 当面は週末中心に運航 交流復活にも期待の声

25日から、釜山間の国際定期航路が再開される対馬北部・比田勝港国際ターミナル=対馬市上対馬町

 長崎県対馬市は10日、市北部・比田勝と韓国・釜山を結ぶ国際定期航路で、韓国の船会社2社が25日から高速船の運航を再開すると発表した。当面は週末中心の運航や人数制限などの条件付き。2020年3月に新型コロナウイルス流行で休止して以来、3年ぶりに再開される。
 国の水際対策緩和を受けて、県市、CIQ(税関、出入国管理、検疫)、医療機関などが再開に向けて協議を進めていた。市によると、詰めの調整が難航し、当初の目標より1週間再開がずれ込んだ。
 市によると、医療体制が本土と比べて脆弱(ぜいじゃく)な対馬でのコロナ拡大を防ぐため、各社は当面、週末を中心に運航。土日は1日1往復ずつで、月曜は比田勝港出発便のみ運航する。乗客は1隻当たり最大100人までに制限。運航会社によると、対馬での乗船予約の受付開始時期は現時点で調整中という。
 今後は医療機関の病床使用率などを踏まえ、関係機関で制限内容や運航頻度などの見直しを進める。市南部・厳原港発着便については、国際ターミナルの改修工事が完了して以降になる見通し。
 対馬市によると、対馬市の厳原、比田勝と釜山を結ぶ高速船で対馬を訪れた韓国人観光客は、2018年に過去最多約41万人を記録。19年時点で、日韓の6社が運航していた。

◎経済浮揚へ「ひと安心」/対馬の事業者ら 交流復活にも期待の声

 対馬市北部・比田勝と韓国・釜山を結ぶ国際定期航路が、25日から約3年ぶりに再開されることが決まった。地元事業者や日韓交流の担い手からは、経済浮揚や往来の本格再開に向けた期待の声が上がった。
 2017年に韓国人による島内消費額が約79億円に上り、にぎわいを見せた対馬市。中でも、比田勝港からの入国者数は、18年には全体の7割以上を占めた。比田勝地区で、すし店などを営む武末智彦さん(47)は「いきなり元のにぎわいに戻るわけではないが、人がいないことには商売ができない。ひと安心した」と胸をなで下ろした。
 当面は条件付きの運航となるが「島の医療体制のことなどを考えると、理解できる」。条件が緩和された場合には「スタッフも増員し、(大勢の観光客に)きちんと対応できるようにしたい」と話した。
 「釜山の人たちとは家族ぐるみの付き合い。再会するのが待ち遠しい」。1998年から、対馬と釜山の市民間で、交流展や合同撮影会に取り組んできた対馬日韓交流写真協会の須川英之会長(70)は声を弾ませた。航路再開でストップしていた対面での合同撮影会も再開できる見通し。「写真に言葉はいらないので、また一緒に撮影するのが楽しみ。日韓で市民同士の草の根交流がどんどん復活してほしい」と期待した。


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