【古田知行さん(焼き鳥 たご オーナー)】焼き鳥の一番美味しい瞬間を味わってほしい

古田知行さん(焼き鳥 たご オーナー)

古田 知行(こだ ともゆき):新潟市秋葉区出身。大阪の調理師専門学校卒業後、東京の蕎麦懐石店で修業を積む。新潟にUターン後は和食、イタリアン、フレンチなどの様々なジャンルの料理を学び、焼き鳥を独学で習得し独立。2020年、新潟市中央区上大川前通に予約制の焼き鳥コース料理の店「焼き鳥たご」をオープンする。


ガタチラスタッフ:『新潟人137人目は、『焼き鳥たご』オーナーの古田知行さんです!大好きな焼き鳥を“一番いい状態”、“一番美味しいタイミング”で味わって欲しいと予約制のコースで提供するスタイルにこだわるお店です。古田さんが料理人を目指したきっかけや焼き鳥へのこだわりをたくさんお聞きしました。素敵な笑顔で取材に応じてくださり、ありがとうございました!』

憧れから料理人の世界へ

──料理人を目指したきっかけを教えてください!

古田さん:高校時代にアルバイトをしていた飲食店の料理人に憧れたことがきっかけです。専門学校を卒業後は和食を学びたいと考えていた時に、東京の有名な和食の料理人がテレビに出ているのを見て、「ここだ!」と思ったんです(笑)。「この人のもとで学びたい」と思い、上京しました。

──憧れのお店で働くことができたんですね!

古田さん:憧れのお店に入社できたのですが、実際はとても厳しい環境で…。一緒に入社した同期は、1カ月後には8人から2人になりました(笑)。当時は朝8時に出勤して、帰宅は夜中の2時という日々で、給料も安かったので金銭的にも苦しくなり、一度新潟に戻りました。

──厳しい環境だったのですね…。新潟でも料理人を続けられたのですか?

古田さん:戻ってからは、新潟で活躍している料理人のもとで、和食やイタリアン、フレンチなど、いろんなジャンルの料理をひと通り勉強しました。修業時代は辛いことも多かったですが、楽しかったですし、良い経験ができたと思います。

ちぎも 山椒

──様々な料理を経験したなかで、「焼き鳥店」を志したのはなぜですか?

古田さん:高校時代に焼き鳥店でアルバイトをしていた経験があったのと、私も焼き鳥が大好きだったからです。お店をオープンする前にも古町の焼き鳥店で店長をしていたのですが、自分自身の判断でチャレンジできる環境が欲しくて、2020年に独立しました。

──焼き鳥店は他店との差別化が難しそうに感じます…。

古田さん:独立を決めてからは、関東の焼き鳥店へ実際に食べに行き、それぞれのお店のスタイルを勉強しました。焼き鳥はシンプルな料理なので、誤魔化しが利きません。自分のお店では、“一番いい状態”“一番美味しいタイミング”で焼き鳥を味わっていただきたいと思ったので、予約制のコースで提供するスタイルにしました。

──新潟だと珍しいスタイルですよね。

古田さん:関東ではスタンダードになっていると思います。コースで提供するお店へ行った時に、焼き鳥に賭ける情熱を感じて、「私も人間の情熱が創り出す“見えない価値”を新潟で提供したい」と思ったんです。それが“自分の一番やりたいこと”だと気付きました。

──いろんなお店を見た結果、辿り着いたのがコース提供のスタイルだったのですね!

古田さん:大衆的なお店の焼き鳥も美味しくて大好きなのですが、「こんな料理の表現の仕方もある」ことを知って欲しかったんです。食材の一番美味しいタイミングは、本当に一瞬です。それを提供してお客様と感動を分かち合えたら、お互いに幸せを感じることができると考えました。

“切る”“打つ”“焼く”のこだわり

──コース料理のみと聞くと、敷居が高いイメージがあります…。

古田さん:そんなことはないので、この美味しさを気軽に一度味わって欲しいです!焼き鳥は基本的にコースで提供しますが、追加で単品の注文もできますし、コースの〆にぴったりなご飯ものもご用意しています。飲み物は日本酒、ワイン、ノンアルコールなど、ご希望に応じて料理に合ったものをご提案していますので、リラックスして楽しんでいただきたいですね。

──お店のこだわりはどんなところですか?

古田さん:「肉を切る」「肉を串に打つ」「肉を焼く」の3つの工程には、焼き鳥を焼く上で譲れないこだわりがあります。鶏肉は牛肉や豚肉と比べて水分量が多く、その利点を生かしたいと考え、よく切れる包丁で鶏肉を切り、細胞を壊さずに水分を残し、ふっくらとした仕立てになるようにイメージしています。

里芋とチーズ

──切るところから美味しさに繋がっているのですね…!

古田さん:そうです。そして、「肉を串に打つ」という点では、その日使う分だけ串に打っています。余分な分量まで串打ちをした結果、使い切れずに残ってしまうとフードロスになってしまいますからね。予約制のコース料理だからこそ、防ぐことができています。

──「焼く」工程にはどんなこだわりがあるのですか?

古田さん:たんぱく質は加熱すると、縮んで固くなる性質があるのですが、肉の水分量を残す切り方をすることで、ふっくらとした焼き上がりになります。焼き台も使いやすいように改造し、常にベストな焼き方ができるように調整していますね。

甘鯛 枝豆 からすみ

海外進出への尽きない夢

──独立されてから、印象に残るエピソードはありますか?

古田さん:以前は、食材を業者から注文していたのですが、食材へのこだわりが強くなるにつれて、農家さんとの直接取引がほとんどになりました。当店の想いを理解してくださる方々との交流が増え、自然と周りに同じ想いを持つ仲間が集まっている気がします。皆さんと話をしていると、刺激を受けますし、勉強になることばかりですね。

──最後に今後の目標を教えてください!

古田さん:いつか海外に進出したいです!海外ではラーメン、寿司、焼き鳥のニーズが多く、面白そうな話がたくさんあります。日本以外にも働く場所の選択肢を増やして、「人生を楽しみたい」というのが目標で、今は海外出店を目指して道を探っている段階です。料理もチャレンジもタイミングは大事ですからね(笑)。料理は自然なものをそのまま使って、「化学調味料不使用で調理して、素材の美味しさを引き出す」ことを深掘りしていきたいと思っています。焼き鳥も料理も“美味しさにこだわったものを提供する”ことにこだわり続けていくので、ぜひお気軽にご来店ください!

店舗外観

焼き鳥 たご
住所:新潟市中央区上大川前通9-1270-1大谷屋マンション1F
電話:025-369-4101
営業時間:17:30~22:00(L.O 21:30)
定休日:日・月・不定休(予約フォームでご確認ください)

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