勝田貴元、痛恨のクラッシュでワークス初陣飾れず。トヨタ最上位は4番手エバンス/WRCスウェーデン

 2月10日、WRC世界ラリー選手権第2戦『ラリー・スウェーデン』の競技2日目デイ2が、今大会のサービスパークが置かれているウメオを中心に行われた。トヨタGRヤリス・ラリー1の3台体制で参戦しているTOYOTA GAZOO Racing WRTは、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組が総合4番手、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組が総合5番手につけた。一方、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組はアクシデントによりクルマにダメージを負い、デイリタイアとなっている。

 前日9日(木)の夜にウメオで行なわれたSS1で開幕したラリー・スウェーデンは、10日(金)のデイ2から森林地帯での本格的な戦いがスタートした。SS2からSS8までの7SS、合計106.76kmで争われたこの日は、朝から晴天に恵まれ気温は0度前後で推移した。これはこの時期のスウェーデン北部としてはそれほど寒くない気温だ。路面コンディションは一部が軟らかい雪に覆われ、出走順が早い選手たちにとっては不利なコンディションとなった。

 その影響をもろに受けたのがデイ1で首位に立ったロバンペラだ。彼は出走順一番手でステージを走行し、オープニングのSS2では8番手タイムで総合4番手に順位を下げることとなった。だが、続くSS3では雪に覆われていない凍結路面が多かったため、本来の速さを発揮。ベストタイムを記録し、首位との差を4.9秒に縮めることに成功する。

 さらに、午前中最後のSS4では今シーズン初のベストタイムを記録した勝田と0.3秒差の2番手タイムを刻み、首位とのタイム差は4.7秒に縮まった。しかし、日中のサービスを経て迎えた午後の再走ステージでは、深く刻まれた轍の影響が大きく、先頭走者のロバンペラは午前中以上に苦闘することに。

 その結果、デイ2最後のステージとなったSS8“ウメオ・スプリント2”では、前夜に続きベストタイムを記録したものの、首位と31.1秒差の総合5位でデイ2を終えることとなった。

 チームメイトのエバンスは、午前中の3本のステージが終了した時点で総合6位とやや苦戦していた。しかしながら、ミッドデイサービスでチームとともにクルマのセットアップを変更したところ午後はペースが向上。SS6では2番手タイムを記録した。最終的には首位と26.5秒差の総合4番手に順位を上げてデイ2を走破している。

カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2023年WRC第2戦ラリー・スウェーデン

■ラトバラ代表「貴元はこれまでで最高のパフォーマンスを見せていたが……」

 自身初めてチームのマニュファクチャラーズポイント獲得ドライバーとして出場している勝田は、デイ2オープニングのSS2でステージ4番手タイムを、SS3では3番手タイムを刻み総合5番手にポジションを上げた。さらに、デイ2最長となる全長25.81kmのSS4では今季初のベストタイムを記録してみせる。

 しかし、午後の再走ステージ1本目のSS5でコーナリングラインが乱れ、ハイスピードでスノーバンクにヒットして転倒。このアクシデントにより車両に大きなダメージを受けてしまう。勝田組は50秒ほどタイムを失いながら何とかSS5を走りきったものの、フロントに搭載されているラジエーターも破損していたため、続くSS6の途中でクルマを停めデイリタイアを余儀なくされた。チームはサービスパークでクルマの修理を行い、明日のデイ3での再出走を予定している。

「予想していたよりも少しタフな一日だったが、まだ何も終わってはいない」と語るのは、チームを指揮するヤリ-マティ・ラトバラ代表。

「昨年よりも厳しいコンディションのなか、1番手走者のカッレ(・ロバンペラ)が苦戦することは予想できていた。通常、スノーステージでは1回目の走行は大丈夫だったとしても、2回目は深く幅の狭い轍が刻まれるため、難しくなるんだ。今日のようなコンディションで、カッレがあれ以上いい走りをすることは不可能だったと思う」

「エルフィン(・エバンス)は午前中あまり調子が良くなかったが、ミッドデイサービスでエンジニアと一緒にベターなセットアップを見つけたことで、午後はポジティブな方向に進んだ。(勝田)貴元はこれまでで最高のパフォーマンスを見せていたが、トリッキーなステージでコースアウトしてしまい、非常に残念だ」

「明日、我々に速さがあって、その上でタイヤマネージメントがうまくできたならば、状況が変わる可能性はある。表彰台を獲得できるかもしれないし、少し運が良ければ、さらに良い結果を得られるかもしれない」

 そのデイ3が行われる11日(土)は、サービスパークの北側で3本のステージをミッドデイサービスを挟んで各2回走行する。オープニングのSS9と再走ステージとなるSS12“ノルビー”は新登場のステージだ。デイ3はSS9~15までの計7本で争われ、その合計距離は126.22kmと4日間で最長。リエゾン(移動区間)を含めた一日の総走行距離は468.50kmとなっている。

フルスノーラリーである『ラリー・スウェーデン』では、300本以上の金属鋲が打ち決まれたスタッドタイヤ(ピレリ・ソットゼロ)を使用する
勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2023年WRC第2戦ラリー・スウェーデン

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