【旧統一教会と地方政治】神奈川の首長、教団との接点は 〝善意〟掲げ保守系狙う? 正体隠し「子ども」「平和」…

県内の全首長が回答したアンケート

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)側と神奈川県内の首長との接点は、どのように生まれたのか。首長らに教団側に対する当時の認識や接点につながった経緯を尋ねると、選挙を戦う政治家としての事情と「世界平和」「子どものために」といった“善意”に惑わされた構図が浮かび上がった。

 「無所属になってから急に声をかけてもらった。名前も売れていないので、いろいろな会合や人にご縁をもらって活動している。頼まれたらやってきたというのが最たるところで、軽率だったと反省している」

 2018~19年に教会での礼拝や行事出席、祝電送付が計4件あった相模原市の本村賢太郎市長は、地元支援者からの声かけが教団との接点につながったと打ち明けた。支援者側は「私たちは旧統一教会で、過去にいろいろと迷惑をかけた経緯もあったが、団体名を一新して再スタートを切っている」と語ったという。

 本村氏と同様に教団「本体」との接点を認めたのは、横須賀市の上地克明市長。市議から依頼を受けて教団の教会主催の講演会に市長名のメッセージを送付した市は、「当時は法令違反や著しく公共の福祉を害すると思われる行為を継続しているとの認識はなかった」と説明した。

 一方、藤沢、小田原、南足柄の3市長は関連団体との接触で、旧統一教会との認識はなかったという。

 18年に親子向けクリスマスイベントに参加した南足柄市の加藤修平市長は「『子どもたちもたくさん来る』と言われれば、それに寄り添うのが市長。まったく他意はない」と説明。アンケートへの回答直前に教団との関連性に気付いたとし、「今思うと市民や子どもたちに純粋に正直に対応している中で、失礼千万だという気持ち」と憤る。

 また、「ピースロード」にメッセージを寄せた藤沢市の鈴木恒夫市長は、「市核兵器廃絶平和都市宣言の趣旨に合致すると判断した」と振り返った。

 教団と政治の関係を巡っては、家庭重視など保守的な政策推進を掲げる関連団体が自民党議員らに「推薦確認書」への署名を求めていたことが明らかになっている。今回の首長アンケートでも、接点があったと答えた5人のうち4人は保守系。本村氏も希望の党を経て無所属で市長に転じており、日本大の岩井奉信名誉教授(政治学)は「教団からすれば『左翼ではない』と考えたのでは」と推測する。

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