余命わずかな父親 4歳の息子を託す新しい家族を選ぶ難しさ 「いつかの君にもわかること」本編映像

2023年2月17日より劇場公開される、ヴェネチア国際映画祭で4冠を獲得した「おみおくりの作法」のウベルト・パゾリーニ監督による7年ぶり監督・脚本作「いつかの君にもわかること」から、本編映像の一部が公開された。

今回解禁されたのは、余命宣告を受けたジョンが、内側に秘めていた思いをショーナにぶつけるシーン。ソーシャルワーカーのショーナが探してくれた、ジョンのいなくなった世界で息子が一緒に暮らす“新しい家族”の候補にいら立ちを覚えたジョンは、「犬やウサギの世話を頼むんじゃない!俺の人生最大の決断だとわかっているのか?」と叫ぶ。さまざまな規則を破り、失業のリスクも犯しながらサポートしているショーナの言葉によってわれに返ったジョンは、決断ができないのは自分の問題であると語り、おびえた表情を浮かべる。

ショーナを演じているのは、「ブルックリン」「ふたりの女王メアリーとエリザベス」「彼女たちの革命前夜」などのアイリーン・オヒギンズ。アイリーンは、「素晴らしいキャストやスタッフが集まる作品に参加できたのは、すごく幸運なことで、誇りに思う」と、自身のインスタグラムに喜びを明かしている。

「いつかの君にもわかること」は、余命宣告を受けた父親と一人息子の“家族探しの旅”を描いた作品。窓拭き清掃員として働く33歳のジョンは、若くして不治の病を患い、余命はあとわずか。シングルファーザーとして男手ひとつで4歳のマイケルを育ててきた彼は、養子縁組の手続きを行い、息子の“新しい親”を探し始める。理想の家族を求め、何組もの家族候補と面会をするが、人生最大の決断を前に進むべき道を見失ってしまう。そんな彼は、献身的なソーシャルワーカーとも出会い、自分のふがいなさに押しつぶされそうになりながらも、息子にとって最良の未来を選択しようとする。

父親のジョン役を演じたのは、「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」のジェームズ・ノートン。わが子のために過酷な運命に立ち向かう姿を、寡黙な演技で体現。内面に抱える複雑な感情を表現している。息子のマイケル役は、100人以上に及ぶ候補者から見いだされた、本作がデビュー作となるダニエル・ラモントが務めている。ウベルト・パゾリーニ監督は、メロドラマや感情主義とは最大限に距離をおいた控えめな撮影手法を採用。敬愛する小津安二郎の影響を受けたという、余計な情景描写や登場人物の会話などを極力排する手法で、父子の心情の移ろいを丁寧に描き出している。

【作品情報】
いつかの君にもわかること
2023年2月17日(金)より YEBISU GARDEN CINEMA他 全国順次公開
配給:キノフィルムズ
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