抗議…秘書官「LGBT嫌だ」同じ考えの人が少数になる時代へ オープンにしてこなかった当事者が語る根拠

同性婚、法的に認めて さいたまの当事者が訴え

 性的少数者(LGBTなど)への差別発言で首相秘書官が更迭された問題を受け、LGBT理解増進法の制定への動きが出ている。埼玉県さいたま市の当事者の女性(57)は「ありがたい」としながら、「理念では弱い印象。私たちにとって、同性婚を法的に認めるのが一番の望み」と訴えた。

 首相秘書官は性的少数者や同性婚について、「見るのも嫌だ」と発言し、今月4日に更迭された。女性は「秘書官と同じような考えを持った人はまだまだ多くいると思う。更迭されたことで、問題ある考えと思ってほしい。私たちはそういうこととの闘いで、あまりオープンにしてこなかった。私はたまたま恋愛対象が同性だった。こういう人間もいると、少しずつ話をしてきた」と現状を語る。

 超党派の「LGBTに関する課題を考える議員連盟」は8日、国会内で役員会を開き、5月の先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)までに、法整備が必要と確認した。女性は「法案を作っていただけるのはありがたい」としながら、「人の考えを変えるのはすごく大変」と指摘。「応援する法案よりは、同性婚を認める法律が一番の望み。法的に認められれば、そういう家族がいると知ってもらえる」

 日本はG7で唯一、同性婚の法制度を整備していない。女性は「日本が一番進んでいない。保守的な考えの人はまだまだ多いが、思想に腹を立てても仕方ない。若い世代は柔軟な発想を持っているので、数年後には社会が変わり、古い意見がマイノリティーになる時代が来ると思う」

 ニュージーランド議会で2013年4月、同性婚を認める法案に賛成の議員が「法案に反対している人たちに約束する。明日も太陽は昇る」と演説、法案は成立して同性婚が認められた。女性はこの演説に触れ、「素晴らしい演説だと思う。日本でも同じように発言してくれる政治家が現れたらいいなと思う」と期待していた。

■「明確な差別」/レインボーさいたまの会

 性的少数者(LGBTなど)への差別発言で首相秘書官が更迭された問題で、県内の当事者や支援者でつくる「レインボーさいたまの会」(加藤岳代表)は8日付で、「性的マイノリティーや同性カップルへの明確な差別発言」と抗議する声明を発表した。

 声明では、岸田文雄首相が同性婚制度に対し「社会が変わってしまう」とした国会答弁に言及し、「首相と政権の姿勢全般について、埼玉県の団体として強い懸念」を表明した。さらに「国にしかできない立法・政策の立ち遅れが目立つ」と指摘した上で、性的指向・性自認に関する差別解消や禁止の法制化、婚姻から同性カップルが排除されている不平等の解消=同性婚の法制化などを求めた。

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