【島人の目】KISSと浮世絵コラボ

 アメリカで浮世絵のベンチャービジネスを展開している日本人女性がいる。東京出身の三井悠加さん(33)だ。 アメリカの伝説的なロックバンド「KISS」と、日本の伝統文化の浮世絵がコラボレーションしたユニークな展覧会「KISS x UKIYO―E Project」が、2月21日までハリウッドのギャラリーで開かれた。同月13日に開かれたオープニング・セレモニーでは、KISSのジーン・シモンズさんとポール・スタンリーさんが登場。日本から、YOSHIKIさんと、Miyaviさんも祝福に駆け付け、盛り上げた。

 展覧会を主催した「浮世絵プロジェクト」(三井代表)は、日本の伝統文化の浮世絵を守り伝えるため、現代のテーマを取り入れてロック・ミュージシャンらをモチーフにした斬新な作品を制作している。一般に展示されるのは今回が初めてとなった。

 YOSHIKIさんが「浮世絵プロジェクト」展覧会などに駆け付けてくれたことに、三井さんは「大きな励み」と喜んでいる。

 YOSHIKIさんといえば、来年夏のオープンを目指す「ジャパン・ハウス」のアドバイザーに就任する。「ジャパン・ハウス」は外務省が設置する日本の情報を発信する広報拠点で、アカデミー賞の会場のドルビー・シアターと同じ敷地内のハリウッドに開設される予定。

 堀之内秀久ロサンゼルス総領事は「全米に訴える発信力でハリウッドが選ばれた。官民一体で日本のテクノロジーや地方の魅力を伝えたい」と述べた。

 三井さんは父親が経営する「三井エージェンシー」にかつて所属していた夏川りみさんのキャンペーンのため、何十回も沖縄を訪れたことがあり、大の沖縄通。2年前から浮世絵ベンチャーでロサンゼルスに事務所を置き、本格的に事業の活路を見いだしている。

 女優のような美しい容貌と優しさとを持ち合わせた女性。いったい、どこにベンチャーを推進するような大きなバイタリティーがあるのか不思議でならない。

(当銘貞夫、ロサンゼルス通信員)

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