マルケスが「最も満足」したフィジカルと、大きく残ったホンダRC213V改善の余地/MotoGPセパン公式テスト3日目

 マレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットで行われたMotoGP公式テストは3日目を終えたが、ホンダが浮上できずにいる。セパンでのテスト最終日は、マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)の10番手が最上位。ジョアン・ミル(レプソル・ホンダ・チーム)が12番手、アレックス・リンス(LCRホンダ・カストロール)が18番手、中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)は21番手だった。

 テストはマルケス中心で進んだ。マルケスは3日間にわたり多くのものをテストし、それに終始したという。コースインの度に、マシンやパーツが異なる状態。テストでは開幕戦に向けてマシンを煮詰めていくものだが、ホンダのテストは他とは異なっていた。

「新しいテクニカルマネージャー(元スズキの河内健さん)はコンセプトについて多くのことを理解したいと思っている。ライダーとしてはほんとに大変だったよ。でも、ホンダでいちばん経験があるのは僕だから、彼らはただ理解するために、すべてのテストするものを試すのに、僕を選んだ」

「彼らはコンセプトについて、たくさんのいろいろなものを理解しようとしている。どうしてなのかはわからないんだけど、彼らは知りたいんだ。もちろん彼らには理由があるんだろう。でも、僕はなぜ、とは聞かなかった。ただ走っていた。『今はこれを試さないといけない』と言われれば、それをテストした。大変だったけど……」

「バイクのバランスは、完全に違っている。バイクがあちこちで振られていたものだから、フィジカル的にかなり大変だった。でも、それが彼らにとって役立つことを願っている」

 初日に用意された4台のマシンから、2日目には3台、3日目には2台、そして3日目の午後には1台にマシンをしぼっていった。

「僕が『これだ、この方向性だ』と決めたんだ」と言うマルケス。マシンのベースが決まったのは大事だと語りつつも、現状についてこう明言している。

「でも、チャンピオンを獲得するバイクじゃない。今のバイクからまた別のステップが必要だ」

「基本的に、バレンシアのバイクとかなり似ている。そんなに大きな差はなく、コンセプトは同じだ。そして、同じ問題を抱えている。というわけで、今はもう、問題を解決するときだ。どのように、というのはわからないけど」

 今回のテストでマルケスにとって最もよかった点は、マルケス自身のフィジカルコンディションだった。初日からフィジカルコンディションがポジティブな点だと言及してきたマルケスは、3日目も同じようにコメントしていた。それは2022年6月上旬に受けた右上腕骨の4度目の手術から順調に回復し、フィジカル面では問題なく走れているということだが、同時に、今回のテストではそれ以上がなかったのだと、暗に語っているようにも思える。

「正直言って、僕としては自分のフィジカルコンディションに最も満足しているんだ。僕としてはそれがいちばん。体がいちばんだ」

 マルケスは「まだまだだよ。彼らに言ったんだ、『まだまだ』って。でも、反応は感じている」と語った。開幕戦までに残る公式テストは、3月11日、12日にアウトドローモ・インターナショナル・アルガルベで行われるポルトガルテストのみだ。

マルケスが3日目に走らせたマシン
テストされていた新型と、後方に置かれた2022年型マシン
フィジカル面のよさを強調したマルケス。「全てのものについて、僕が常にいい状態で走っていて試すことができた」と語る
テストライダーのブラドルは、ウイングがないマシンを走らせていた

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