暖房グッズで低温やけど…気付かぬうちに重症化も 医師が指摘する危険な使い方

「低温やけど」予防のためのポイント

 寒い日は、暖かく過ごせて節電もできる湯たんぽやカイロといった暖房グッズが手放せない人も多いはず。ただ、心地よく感じられる温度でも長時間触れ続けると「低温やけど」になり、気が付かないうちに重症化していることも。福井県済生会病院(福井市)の長谷川義典・皮膚科主任部長は「特に暖房グッズを使ったまま寝るのが危険」と注意を呼びかける。

 「知らない間に水ぶくれができていて、受診して低温やけどだと分かる人が多い」と長谷川医師。低温やけどはじっくり中まで焼かれるイメージだという。消費者庁の資料によると、44度で3~4時間、46度で30分~1時間、50度で2~3分、熱源に触れ続けるとやけどになる可能性がある。

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 やけどの程度は、傷の深さで分類される。皮膚の表面である表皮を損傷すると「Ⅰ度」、表皮の下にある真皮まで達すると「Ⅱ度」、さらに下の皮下組織までダメージがあると「Ⅲ度」となる。低温やけどの場合、水ぶくれができるⅡ度、皮膚が壊死(えし)してしまうⅢ度と深いやけどを負う場合が多い。表面に密にある痛覚を感じる部分が損傷して痛みを感じないためだ。長谷川医師によると、完治までに浅いⅡ度では2~3週間程度、それ以上深いと1カ月以上を要して痕が残る。

 低温やけどの治療はまず、1週間ほど抗生物質の入った軟こうを塗って様子を見る。皮膚が壊死している場合は、壊死組織を切除して皮膚の再生を待つ。やけどが広範囲に及ぶ場合は皮膚を移植する。

 低温やけどの原因で多いのが湯たんぽ。長谷川医師によると、タオルでくるんでいても、体に長時間接触させると低温やけどになる場合があり、布団を温める目的で使うようにする。専用カバーか厚手の布でくるんだ湯たんぽを寝る少し前に布団の中に入れて温めておき、就寝時に布団から取り出す。このほか、貼るタイプのカイロは服の上から貼り、ファンヒーターは1メートル以上離して使うようにする。泥酔してファンヒーターの吹き出し口の前で寝てしまい、広範囲にやけどを負うケースがあるという。近い距離で乳児を寝かせるのもやめてほしい。

 高齢者や糖尿病患者は痛みや熱に対する感覚が鈍っていることがあり、特に注意が必要。長谷川医師は「低温やけどは一刻を争うものではないが、小さな傷でも深いやけどになっている場合がある。必ず受診してほしい」と話していた。

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